NEW
神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

低所得者は病院にいけない、危険な食品蔓延、失業者増&賃金低下…TPPが日本を破壊

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

内閣官房 HP」より
 本連載の前回記事では、TPP批准により日本が受ける悪影響についてみてきましたが、なかでも「毒素条項」とも呼ばれる「ISD(ISDS)条項」の危険性について触れました。ISD条項とは「Investor-State Dispute Settlement」の略で「投資家対国家の紛争解決」を意味します。FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)にも入っているものですが、訴訟大好き米国の多国籍大企業は、これによって相手国政府を訴えることが認められます。日本企業が途上国を訴えるケースは想定できても、米国政府を相手に訴えるケースはほとんど想像できないでしょう。

 このISD条項は、本来は途上国政府が政変で転覆した際などに、先進国の進出企業が投資で被った損害を補償してもらうための条項でしたが、NAFTA(1994年に発効した米国・カナダ・メキシコ3カ国の北米自由貿易協定)の頃から変質し、投資家や企業が相手国の制度や規制や政策、慣行などにまで異議申し立てを行うようになってきたという経緯があります。

 たとえば、日本に進出してきた米国企業が、日本の法律により自社の営業活動が阻害されて損害を被っていると考えた場合には、世界銀行傘下の「投資紛争解決国際センター(ICSID)」に提訴できるのです。ICSIDでは、原告企業と被告(訴えられた国)の選任が各1名で、双方が合意したもう1名の、たった3者で判定が行われます。しかも上訴が認められない一発裁定です。これで、その国の国会で決められた法律でさえ、勝手に変えてしまうことさえできるのです。

 では、この恐るべきISD条項によって、日本の何が問題になり、米国の企業から提訴される可能性があるのでしょうか。
 

「食」の安全が損なわれる


 店頭で売られている納豆の包装を見ると、「大豆(遺伝子組み換えでない)」という表示がなされています。こうした表示には、遺伝子組み換え作物の種子で世界シェア90%を占め、遺伝子組み換え特許を数多くもった米国の巨大多国籍企業モンサントなどは到底納得しないでしょう。遺伝子組み換え表示そのものを禁止するように、ISD条項で日本政府を訴える可能性があります。

 ほかにも日本の食品においては、添加物基準、残留農薬基準、ポストハーベスト基準(保存や輸送のための殺虫剤など)などが厳しいことを、米国の輸出業者から問題にされ、次々と基準値が緩められる事態が起こります。その結果、安くても危険な野菜や果物の輸入が激増します。

 EUでは輸入禁止されており、発がん性が懸念される成長ホルモンで速成的に太らせた安価な豚や牛が今まで以上に輸入され、日本の畜産農家は大打撃を受ける懸念もあります。