低所得者は病院にいけない、危険な食品蔓延、失業者増&賃金低下…TPPが日本を破壊
今は歯科医院の数がコンビニエンスストアよりも多いほど競争が激しいため、自由診療ばかりしたがる歯医者のところへは一部の富裕層しか行きません。しかし、かつて1970~80年代に歯医者が不足していた時代には、「保険でお願いします」などと患者がいおうものなら、「保険の治療なんかじゃ、すぐに歯が駄目になるよ」などと脅されて、数十万円のボッタクリ治療を強要されていたものです。
「混合診療」を解禁すると、そういうことが一般の医療現場でも起こるようになるのです。現在でも、美容整形は「自由診療」が多いため、派手な広告宣伝を繰り返して客を集めています。
医者は「自由診療」をしたがり、患者は「保険診療」では相手にされなくなるという事態が懸念されるのです。医療費はどんどん高額化して、金持ちしか病院にかかれなくなります。ジェネリック医薬品も、知的財産権の長期独占が可能になって普及が妨げられたり、政府が薬価を2年毎に決める制度にも「不平等」だとISD条項で政府を訴えれば、薬価は高騰します。
米国では、盲腸手術で数百万円、ちょっとした日帰り手術でも100万円程度が当たり前の水準です。ゆえに金持ちは日頃から、イザという時に8割を保険で賄ってもらうために、民間の高額保険に入っています。入っていないとオチオチ医者にもかかれないからです。医療費が原因で自己破産したというケースが米国で多いゆえんなのです。
日本には、相互扶助の精神で、営利を目的としない保険制度としての「共済」があります。JA共済、全労済、都道府県民共済などの認可共済です。死亡と入院医療がセットになっており、格安の掛金で万一の時に備えられるコストパフォーマンス抜群の制度設計がなされています。ちなみに都道府県民共済の「埼玉県民共済」の加入者還元率は96%にも上ります。
米国の保険会社は、これにも注文をつけてくるでしょう。一般の法人税と比べて共済組合の法人税が安いことや、加入者の利便性が民間の保険よりも高いことが、著しく保険会社の営業を妨害しているとISD条項で問題にするわけです。共済組合制度そのものを「非関税障壁」として潰しにかかってくる可能性もゼロではありません。
賃金下落
TPPは、サービス貿易も自由化の対象です。サービスの提供主体(事業者と労働者)が国境を超えて自由な取引を行うことが認められています。すると途上国の低賃金労働者も一緒に入国できないことにはおかしなことになります。日本の入管制度では、単純労働者の入国は禁止され、外国人技能実習制度と南米の日系移民の2世、3世とその家族だけが認められています。つまり、外国人は高度技能が認められた人だけが就労ビザの下で外国人労働者として入国が認められていますが、この制度もISD条項で訴えられるかもしれません。