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利用開始前から大混乱…マイナンバー、国民が「取り返しのつかない」損害被るおそれ

文=平沼健/ジャーナリスト
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 だが、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は共同で、マイナンバーとは異なる医療等IDの導入が必要だとして反対の声を上げている。実際、英、独、仏をはじめとしたヨーロッパ諸国では、危険性が高いとして医療用に別のIDを導入している。

 マイナンバーと健康保険証が一体化することで、医療機関でカードを提示すれば、健康保険の情報を確認できるため、今後保険証が不要となるだろうとみられている。プライバシーに配慮し、病歴などの情報は残さないとしているが、万一情報が流出した場合には回復できないほどの損害が生じる可能性は否定できない。

 マイナンバーは慎重に保管し、他人に知られないようにすることが求められている。業務にあたってマイナンバーの提供を受けた事業者は、厳重に管理する義務があり、漏洩した場合には重い罰則が科される。

 それにもかかわらず、病院など多くの場面で提示を求められる保険証の機能を付加するのは矛盾しているのではないか。また、批判を浴びて白紙撤回されたとはいえ税金還付のために買い物の際にレジでマイナンバーカードを提示する案を策定するなど、制度の普及を優先するあまり、理念の通っていない案ばかり提示されている。

 麻生太郎財務大臣は、銀行預金口座への登録義務化について「3年くらいしたところで検討させていただこうかと思っている」と述べており、制度が普及したところでマイナンバーの適用範囲がなし崩し的に拡大されるのは避けられないだろう。

 マイナンバー制度自体については、メリットもデメリットもあるため安易に是非を述べるつもりはないが、枠組みが確立されていない状況で拙速に進めているとの印象が拭えない。「とりあえず導入し、後から適用枠を広げる。不都合があれば修正すればいい」という政府の思惑が透けて見える。
(文=平沼健/ジャーナリスト)

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