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三上洋「IT漂流時代」

時代の寵児Ustream、ひっそり撤退…なぜ視聴者&配信側に見捨てられた?甘さがアダ

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Ustream番組『UstToday』出演中のUstream Asia社長・中川具隆氏(13年)。この時はUstreamの広告塔として、番組やセミナーの出演を積極的にこなしていた。
 インターネットサービスの栄枯盛衰は、あまりにスピードが速い。5年前に時代の寵児となったライブ動画配信サービス・Ustreamが、2016年1月にひっそりと日本での展開を終える。


 12月1日にソフトバンクの子会社・Ustream Asiaが、アジアでのサービスを本国アメリカのUstream, Inc.に移行すると発表した。Ustream Asiaは日本・韓国を含むアジア地域でのサービスを独自にカスタマイズし提供していたが、これをアメリカに返すかたちだ。

 一言でまとめれば、Ustream日本法人の撤退、だろう。Ustream自体は今後も日本から利用できるが、ソフトバンク子会社が提供してきた日本語トップページや、日本独自の付加サービス・有料サービスは廃止か移管される。

 Ustreamはイラク戦争に派遣された兵士とアメリカの家族をネット動画で結ぶことから着想を得て、07年からスタートしたインターネットの生放送サービスだ。アメリカ大統領選挙のキャンペーンで使われたことから大きくブレイクしている。

 日本ではTwitterとの連携をきっかけとして、革新的なメディアとして09年末から注目を集めた。視聴者がTwitterで参加することで、放送側に意見を反映できる(=双方向性)、視聴者同士でパブリックビューイングのように盛り上がる(=共感)、そして視聴者が増える(=拡散)という素晴らしい効果があった。テレビやラジオのような時間の区切りがなく、無料で高画質配信が誰でもできることから、新しいタイプのメディアとして脚光を浴びた。

 そこに目をつけたのがソフトバンクの孫正義社長だ。09年末に出資を決め、10年5月から日本法人がスタート。ソフトバンクの決算発表や新製品発表会はすべてUstream配信され、関係者によれば「孫社長が配信後に『今日のUstreamは何人視聴したのか?』と聞くのが定番になっていた」というほど力を入れていた。

 当時のUstreamは、ライブ動画配信サービスの代名詞ともなり、先進のメディアとしてのブランド力があった。有名アーティストやクリエーターがこぞって配信を始め、企業もイベントやプロモーションで利用。10万人を超える視聴者を集める配信が続出した。

 また11年の震災で、テレビ同時配信を行ったことによって一般ユーザーにも浸透。12年には月間ページビューが1700万PV、ユニーク視聴者数も800万人を超えて、日本最大の生放送メディアに成長している。

 しかしそれからわずか3年で、日本法人は店を畳むことになった。Ustreamに何が起きたのか。失敗の理由は、大きく分けて3つあった。

12月1日に発表されたUstream Asiaの業務を、本体のUstream, Inc.へ移行するお知らせ。プレスリリースはなく、サイトとメールでひっそりと発表された。

Ustreamが敗れた理由は「囲い込みの失敗」「ビジネスモデルの難点」「ブランド力の低下」


 理由の1つ目が「囲い込みの失敗」だ。