東証一部上場のIT関連企業Aの創業社長B氏をめぐっては、不倫相手への暴行や不正増資疑惑が一部メディアでも報じられており、本連載前回記事『不倫相手暴行疑惑の超有名社長、怪しすぎる商法と人格…違法行為疑惑が続々発覚』でも被害者女性がB氏に対する刑事告訴の準備を進めていると報じた。
今回取材を通じて、警視庁は被害者女性の告訴状を正式に受理していたことがわかった。提出からわずか1カ月半という速さだった。
暴行事件の場合、「被害届」であれば警察は比較的容易に受理するが、「刑事告訴」はなかなか受理に至ることは難しいのが実状である。少なくとも民事事件として解決できるような私的トラブルではなく、公益上「犯罪」として処罰すべき必要性のある重大な事件であり、かつ十分な証拠が揃っていると判断されないと警察は動けないからだ。今回スピード受理に至ったということは、警察は本件を証拠も十分揃った重大事件であると判断したからにほかならない。
さらに警視庁は、B社長を書類送検する方針を固めたもよう。さらなる捜査の進展が待たれる。
A社、および代理人弁護士への質問状を公開
筆者は前回記事の執筆にあたり、関係者への取材と並行してA社に対しても複数回の取材を行っているが、誠実な回答は得られず、直近の質問に対しては回答すらしていない。今回はA社への質問状と回答を公開し、いかにA社および代理人弁護士の言い分が一般常識からずれているのかをみていきたい。ちなみに実際の質問状では会社名、関係者名ともに実名表記である。また、本文中の( )は筆者注。
<2015年末の週刊誌報道後、A社広報担当者宛の取材>
・取材内容
1.これまでの取材により確認している前提事実について
・貴社のグループ企業であるE社に対して行われた増資に関して、貴社は「すべて適法に行われている」との見解を示しておられますが、F氏(E社経営者であり、B社長のDV被害者)の持ち分にまつわる書類は本人の関与しないところで押印され、使用された疑惑がございます。実際に、F氏が当該書類を確認したいという意向を示しているにもかかわらず、貴社は対応しておりません
・貴社(15年)12月17日付のリリースにて、週刊誌報道を「事実無根」としておられますが、B氏による暴行行為についてはB氏本人と被害者との携帯メールのやりとり、医師の診断書、暴力行為に関する告訴状などの証拠が揃っております
・B氏が代表理事を務めるDについて、会員の支払う会費がB氏の私財となり、正確なお金の流れが不明であるとの指摘がございます
・また(B氏が主宰する経営者交流会の)Cにおいては、「一般会員を10人紹介し、入会させる」ことで「参事」へと昇格でき、参事になると、「1人紹介して入会させる毎に5万円のキックバックが得られる」仕組みがあると伺っておりますが、会の規約にはその旨の説明がないように認識しております