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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

食業界の底知れぬ闇…ココイチ廃カツ横流し、「大山どり」偽装地鶏が10年も流通

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト
食業界の底知れぬ闇…ココイチ廃カツ横流し、「大山どり」偽装地鶏が10年も流通の画像1「Thinkstock」より

 1月半ばに異例の廃棄カツ横流し事件が起きたが、環境省は全国的な調査の結果、類似事件が発生していないことからこれにて一件落着とし、早くも幕引きを図ろうとしているようにもみえる。しかし、事件の全容解明には至っておらず、新たな食の不安は増すばかりだ。

 過去のショッキングな偽装事件を振り返り、また今回の事件に前後して発覚したもう1つの偽装事件を通して、食の不祥事の深層の解明に迫る。

大山鳴動してネズミ一匹見当たらずか

 1月半ばの「カレーハウスCoCo壱番屋」廃棄カツ横流し事件に関連し、環境省は2月16日、次のような発表をした。

「都道府県等による全国的な立入検査の結果、他に同様の事案の報告はなく、今回の事案(CoCo壱番屋廃棄カツ横流し事件)は、一部の悪質な事業者によるものと考えられます」【編注1】

 これに先立って環境省は1月20日、都道府県と産棄物処理法上の政令市を合わせた115自治体に対し、食品廃棄物(動植物性残さ)を扱う産廃業者合計1798施設への立入検査などを行うとともに、環境省への報告を要請していた。

 その結果、食品転売とマニフェスト(産業廃棄物管理票)【編注2】のそれぞれの虚偽記載のいずれのケースもないことが確認された、というのだ。大騒ぎになったにもかかわらず、大山鳴動してネズミ一匹見当たらず、ということか。

10年近く前の食品が流通か

 しかし、この発表をいくら読み返してみても、何か肩すかしを食らった感じがするばかりで、心の底から安堵感が湧き上がってこない。

 それは、第一に「CoCo壱番屋」廃棄カツ事件の全容解明があまりに不十分だからなのではないのか。そのために、この事件の背後に底知れぬ黒い闇の広がりの気配を感じ、つい疑心暗鬼になって、不安が掻き立てられるばかりだ。

 それも解明が不十分なのは、ビーフカツだけではない。産廃処理業・ダイコー(愛知県稲沢市)から横流しを受けたみのりフーズ(岐阜県羽島市)の施設で、全国10都道県11市に販売・製造元がある焼き鳥やケーキなど108品目もの廃棄食品が見つかった。特に気になるのは、一部で報道された、その「多くは賞味期限切れで、最も古くて2007年9月20日」という点だ【編注3】。

 この「07年9月20日」の件について、筆者の質問に対して岐阜県の担当者は、「それに該当する自治体に問い合わせたが、『すでに書類が残っていない、調査も困難』との回答を得た」と語った。未確認とはいえ、10年近く前の食品が最近まで流通していた可能性も否定できず、驚くばかりだ。

 そして、10年前といえば、必ずしも廃棄食品の話ではないが、実にショッキングな事件が思い出される。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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