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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

食業界の底知れぬ闇…ココイチ廃カツ横流し、「大山どり」偽装地鶏が10年も流通

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

ミートホープ事件の教訓生かされず

 この07年9月20日のちょうど3カ月前の6月20日、北海道の食肉卸会社ミートホープによる牛肉コロッケ偽装事件【編注4】が発覚した。同社がコロッケに使う牛肉(牛のひき肉=ミンチ)の代わりにコストの安い豚ひき肉だけでなく、鶏ひき肉や鴨ひき肉、さらに豚の内臓肉まで混入させていた。

 それどころか、水やパンくずを増量材にし、サルモネラ菌などの汚染肉も加熱すれば問題がないとして、混入させる。わざわざ廃棄した肉を仕入れ、工場の床に落ちた肉も使い、クズ肉に化学調味料を加えて味を良くするといった行為も発覚した。

 偽装牛ひき肉はミートホープから、事件発覚までの1年間だけで417トンが販売された。それが北海道から九州・沖縄までの各種製造業者や販売・中間流通業者を合わせた301社を経て加工・販売され、最終的に偽装牛ひき肉を原料とするさまざまな食品9838トンが、全国的に幅広く消費された。

 それは主に冷凍食品(コロッケ、メンチ、ラザニア、肉ジャガ、ミートフライなど)やレトルト食品(カレー、ミートソースなど)、惣菜などとして、またスーパーなどで販売されるだけでなく、外食などの業務用向けや学校給食・病院給食など特定施設向けとして供給された。

 この牛ひき肉偽装は1998年頃から始まったといわれ、10年近く続けられたことになる。ミートホープはまさに“偽装肉の百貨店”であり、食の裏側に君臨した筋金入りの確信犯というわけだ。代表者はその後、不正競争防止法違反(虚偽表示)と詐欺罪で懲役4年の実刑判決【編注5】を受けて服役した。

 この牛肉コロッケ偽装事件は社会的に大きな衝撃を与えた。それを機に、業界ぐるみの自主規制を含めて、さまざまな法的な規制や罰則の強化など、再発防止のために万全の対策がなされてきたはずだった。ところが、今回の廃棄食品の思いがけない“危険な再利用”というかたちで、見事に裏をかかれたことになる。

新たな鶏肉産地偽装事件が発覚

 それだけではない。廃棄カツ横流し事件の大騒ぎの余韻もさめやらぬ今年2月17日、新たな鶏肉の産地偽装事件が発覚した。新聞報道【編注6】によれば、こうだ。

 事の経緯が今ひとつはっきりしないのだが、京都市の食肉加工会社の「都(みやこ)ジャパン」が、九州産のブロイラーを鳥取産の「大山(だいせん)都どり」と偽って、京都府や大阪府のスーパーなどに販売していたという。同社の社長が同年1月29日に京都府警に自首後、不正競争防止法違反の疑いで取調べを受けているが、2月17日に自ら記者会見をして、公表した。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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