チャイナリスクが顕在化してきた。建設機械の需要は景気の先行指標といわれているが、中国で受注が激減し、建機メーカーの業績を悪化させた。
世界2位の建設機械メーカー、コマツの2015年4~12月期の連結決算(米国会計基準)は売上高が前年同期比4.6%減の1兆3705億円、営業利益は15.0%減の1546億円、純利益は11.0%減の1037億円だった。
中国では景気減速によるインフラ投資の減少を背景に油圧ショベルなど建設機械需要の落ち込みが続いている。コマツの中国の売上高は522億円。ピーク時の10年同期と比べて4分の1に落ち込んだ。資源価格が低迷しており、新興国を中心に鉱山機械の販売も減少した。
16年3月期の業績見通しは据え置いた。売上高は前期比5.0%減の1兆8800億円、営業利益は8.7%減の2210億円、純利益は10.4%減の1380億円の見通しだ。
コマツの株価は1年前の高値2686.0円(15年1月5日)から安値1557.5円(16年2月12日)へと42%下落した。07年の高値は4090円だったから、その下がり方は尋常ではない。
世界3位の建設機械メーカー、日立建機は16年3月期の連結決算(国際会計基準)の業績見通しを下方修正した。売上高は前期比6.8%減の7600億円としており、従来予想(7800億円)を200億円引き下げた。営業利益は52.5%減の300億円の見通しを据え置いたが、純利益は63.5%減の95億円になる。従来予想は130億円だった。
中国の景気減速を受けて建設機械の販売が激減。油圧ショベル需要は半減した。そこにインドネシアなど資源国向けの鉱山機械の不振も加わり、2度目の下方修正に追い込まれた。
日立建機の株価は1年前の高値2597円(15年1月5日)から安値1475円(16年2月12日)まで43%安くなった。07年には5080円の高値をつけていたが、株価は惨落である。早期退職を実施している。
建機の巨人、米キャタピラーもコマツ、日立建機と同じように苦戦を強いられている。特に、資源価格の低迷で資源国向けの鉱山機械が低迷した。中国ショックと資源安がダブルパンチとなった。
ファナックも中国向けが落ち込む
工作機械と産業用ロボットは日本の“お家芸”だ。最大市場は世界の工場となった中国である。工作機械はスマートフォン(スマホ)部品加工向けの特需があって好調だった。人件費の上昇で省力化投資が増え、産業用ロボットも売れた。だが、中国経済の失速は工作機械と産業用ロボットの需要を後退させた。