10月19日、中国国家統計局が2015年7~9月期の国内総生産(GDP)を発表した。その数字は、物価変動の影響を除いた実質GDPで前年同期比6.9%増である。今年4~6月期の7.0%増から減少した上、リーマン・ショック後の09年1~3月期の6.2%増以来、6年半ぶりに7%を下回ったことが話題になった。
中国政府は「今年のGDP成長率は7%が目標」としているが、中国経済の減退は今後も続くことが予想されており、目標達成に暗雲が立ち込めている。そもそも、中国は長らく「保八」という政策目標を掲げてきた。これは「成長率8%以上を維持する」というものだが、ここ数年の中国は保八を割り込んでおり、14年の成長率は7.3%だった。
そして、保八が達成できないどころか、今度は7%にも届かないかもしれないわけだ。ただ、当連載でお伝えしているように、中国は政府発表の数字も信用性が低いため、本当に今年7~9月期の成長率が6.9%なのかすら疑問である。
英米のシンクタンクなども、3%前後ではないかという推定をしている。また、9月の貿易統計で中国の輸入は前年比マイナス20%であり、この数字からすれば、すでにマイナス成長に入っていると考えられるのだ。いくら資源価格の下落が起きているといっても、輸入が20%減少する中で、経済の規模を示すGDPがプラスであることはあり得ない。貿易統計は相手があるため、ほかの指標と違ってごまかしにくいのである。
中国において、不動産や株式のバブル崩壊の連鎖が起きていることは、すでに述べてきたが、問題はそのスピードが速すぎることにある。通常、金融面でのショックやバブル崩壊の影響が、不動産やほかの市場に波及するまでに最低2~3カ月、実体経済に影響が出るまでには6~8カ月かかる。
例えば、日本のバブル崩壊を簡単に振り返ってみよう。まず、日経平均株価が3万8915円のピークを記録したのは、1989年12月だ。よく、「バブル崩壊は91年から」といわれるが、景気が悪くなってきた実感を持ち始めたのは、93年頃という人が多いのではないだろうか。そして、97年には北海道拓殖銀行の破綻と山一證券の自主廃業があり、同時期に多くの金融機関が経営破綻に陥っている。
このように、数年単位のタイムラグがあるわけだ。
3倍の猛スピードでバブル崩壊が進む中国
しかし、今回の中国のバブル崩壊はどうだろう。
まず、6月中旬からの株価急落により、約3週間で3割以上が下落した。これは、GDPの3割に相当する3兆ドル以上が一気に失われた計算になる。7月6日から、政府の意向を受けた証券会社が2.6兆円規模のPKO(プライス・キープ・オペレーション)を行ったが、株価下落を抑制することはできなかった。