3月24日付当サイト記事『タクシー運転手の悲惨な実態…1日20時間労働、必死に月50万売り上げても月給25万』で、タクシードライバーの賃金形態や労働の実態についてお伝えした。今回は、さらに業界の内情に迫るとともに、乗客とのやり取りについてもお伝えしたい。
まず、タクシードライバーにとって最も怖いのが「事故」だ。軽い単独事故であれば、会社に報告しないで自腹で修理してしまう運転手も少なくない。会社に報告すれば、帰庫時に報告書を書かなければならない上、管理者にキツく怒られた挙げ句、無事故手当がもらえないため、収入が減ってしまうからだ。
相手のある物損事故の場合、修理費に応じてペナルティを課されることも少なくない。軽い衝突などで相手が病院に行った場合、こちらの車が傷ついていない程度の接触でも、5万円前後の支払いを覚悟しなければならない。
そして、車を大破させた場合は相当額を取られる。居眠り運転など、ドライバーの過失が大きければ、1~2カ月の給料が吹っ飛んでしまうこともある。実際は分割されて月々の給料から天引きされるかたちになるが、きちんと保険で賄ってくれる会社もある。
乗客にけがでもあれば、もっと大変なことになるが、タクシー会社に就職する場合、前回記事で言及した売り上げと歩合率の関係に加え、事故に関することは必ず聞いておこう。なお、当たり前だが、交通違反の罰金もドライバーが自腹で払うこととなる。
「これ以上は払わない!」と言われ、泣く泣く自腹を切ることも
タクシーの料金メーターは時間によっても上がる仕組みになっているが(時速10キロ以下の場合、時間メーターが作動する)、たまにそれを知らない乗客がいる。
ある日の夕刻。渋滞にはまり、普通なら20分で着くところを40分もかかってしまった。料金は3000円前後のはずだったが、メーターは4000円を超えている。
私は最初に経路の確認をしており、経路を指示したのも乗客自身だ。渋滞中に「迂回しますか?」と聞いても「いいよ、このままで!」とイライラ口調だった。迂回路などない直線ルートのため、こちらも我慢せざるを得なかったが。
目的地に着くと、案の定「いつもより1000円以上も高い!」とクレームをつけられた。「すいません、渋滞していたもので……」と言っても、「これしかない!」と3000円を置いて「これ以上は払わない!」の一点張りだ。