自動車部品大手タカタ製エアバッグが異常破裂した欠陥問題をめぐり、トヨタ自動車や本田技研工業(ホンダ)、米ゼネラル・モーターズ(GM)など、日米欧の自動車メーカー10社でつくる独立委員会は2月23日、次のような調査結果を公表した。
(1)エアバッグを膨らませるガス発生剤、硝酸アンモニウムに乾燥剤が使われていなかった。
(2)薬品が高温度、高湿度の環境に長期間さらされていた。
(3)エアバッグの製造時に湿気の混入を防ぐ作業が十分ではなかった。
10社の依頼を受けて米航空宇宙・防衛企業のオービタルATKが調査を行った結果、以上3つの要因が複合的に絡まったことが事故の原因と結論づけた。
2014年前半までに判明した欠陥は、タカタの製造ミスが原因とされていた。だが、品質管理は万全といっていたはずのエアバッグ部品(インフレーター)でも欠陥が報告され、14年後半からリコールが拡大した。インフレーターはエアバッグを膨らませるのに使うガス発生装置だ。
タカタ製エアバッグでは、作動時にインフレーターが破裂して金属片が飛び散る欠陥によって、少なくとも全世界で10人が死亡した。
これまでも、湿気を含むと形状が大きくなり爆発力が増すと指摘される硝酸アンモニウムを使用していたことが原因と見なされていたが、今回の報告書はそれを裏付ける結果となった。
米当局が追加のリコールを検討
調査結果を受けて、タカタは自動車メーカー各社とリコール(回収・無償修理)にかかった費用の負担割合の協議を本格化させる。今後は責任と負担の割合が焦点となる。
世界中のリコール対象台数は国内メーカー7社だけで5000万台近くに上っている。1台当たり1万円から数万円とされるエアバッグの交換費用は自動車メーカー各社が立て替えており、それぞれ「調査結果が出てから具体的な交渉をしたい」としてきた。
だが、リコールはこれだけで収まりそうにない。ロイター通信は2月22日、米当局が最大9000万個のエアバッグを追加でリコールする必要があるかどうか調べていると報じた。
全量について追加リコールを命じた場合、米国でのリコール対象は最大で1億2000万個に達し、これまで対象となった2900万個の4倍に膨らむ。
タカタは15年11月に米運輸当局から最大2億ドルの制裁金が科せられている。タカタは自動車メーカー各社に支払いの軽減を求める考えだ。タカタは巨額なリコール費用の負担には耐えられないとみられており、企業としての存続をめぐる議論も絡んでくるため、交渉は難航が予想される。