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「ヒトラー称賛」「人類を滅亡させる」…コントロール不能なAI、人間抜きで進化し始める?

文=編集部
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「ヒトラー称賛」「人類を滅亡させる」…コントロール不能なAI、人間抜きで進化し始める?の画像1グーグル囲碁AI対プロ 最終戦は人工知能が勝利(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 ついに、人工知能(AI)が恋愛相談を始めるようだ。

 4月25日、NTTレゾナントはウェブサービス「教えて!goo」の恋愛相談に、AIが回答するサービスの開発を始めたことを発表した。AIは相談内容から相談者の年齢や職業、質問の意図などを分析、同サービスに寄せられる膨大な質問や回答のデータから最適な回答を導き出して提示するという。

 同サービスの開始予定は8月。将来的にはAIが独自に回答を生成することを目指すといい、AIの回答分野は恋愛相談から健康や子育てに拡大する予定だ。

 3月には、グーグルが開発した囲碁のAI「アルファ碁」が世界トップ棋士を4勝1敗で下し、AIの書いた小説が第3回日経「星新一賞」の一次審査を通過したことも大きな話題となった。

 目覚ましい進化が伝えられる一方で、そのリスクや危険性も危惧されている。例えば、マイクロソフトのAIチャットボット「Tay.ai」は、ツイッターでヒトラーを擁護するなど過激な発言を連発、ハンソン・ロボティクスが開発したAI搭載ロボット「Sophia」は、インタビューのなかで「人類を滅亡させるわ」と発言したことが物議を醸した。

 まさに、AIの一挙手一投足に人間たちが浮足立っているかのような事態を、どう受け止めるべきなのか。ブランド戦略ディレクター(有限会社ココカラ代表取締役/ブランドカンパニーラボ主宰)の江上隆夫氏に聞いた。

今のAIは、ほとんどエイリアン扱い?

「人工物の知性というと、私の場合、思い出すのが『ドラえもん』と『鉄腕アトム』なんです。というより、AIの理想形はあそこしかないのではないかと思うんですよね。

 ネコ型ロボットのドラえもんも、天馬博士が交通事故で亡くなった息子の代わりにつくったアトムも、ともに人間の等身大の友人のように振る舞う。彼らの飛び抜けた能力は、のび太やお茶の水博士が困った時や危機的状況の時に発揮されるわけです。

 助けはするが、邪魔はしない。愛嬌があって、少しだけおっちょこちょいで間違うこともある。関係を判断し、その関係を育める能力がある。つまり、彼らの振る舞いは、きちんとした社会性があるんですね。

 それを考えると、今のAIの扱われ方は、ほとんどエイリアンです。まるで、地球に来訪した異星人のような報道がなされている(笑)。『AIが世界トップクラスの李九段に5番勝負で4勝!』『レンブラントそっくりの絵を描いた!』『ヒトラーを称賛した!』『人類を滅亡させると言った!』……。

 自分たちが営々と努力し、それでも身に付けられなかったであろう能力を、やすやすと“機械”がなし得ているということが、私たちは怖くてたまらないのです。じぶんが生み出したものなのに。でも、よく考えれば、これは近代以降、産業革命を経てきた私たちの、その時々に現れた新しいテクノロジーに対する典型的な反応にすぎないんじゃないかと思います。

 蒸気機関、機織り機、自動車……近年であれば、テレビ、携帯電話、ゲーム機、インターネットなどなど、いつでもテクノロジーの負の側面が強調されて、排外的な動きが生じる。面白くて、新しくて、仕組みがわからないものに対して、私たち人間はいつも不安なのです。

 良いにしろ悪いにしろ、機械打ちこわしのラッダイト運動は、この200年間、灰の中の熾火のように絶えていないんですよ」(江上氏)

 今のAIの急速な進化に人間側がついていけていない部分は否めないが、それはある意味で当然のことのようだ。しかし、江上氏はAIと従来のテクノロジーとの違いについて、以下のように語る。

人間がAIに抱く恐れ、杞憂、憂鬱……

「AIが今までの技術や機械と決定的に違うのは、コンピュータの驚異的な進化により自己成長、自己組織化、自己複製などを人間の関与なしにできるのではないか、と考えられていることだと思います。

 その結果、ある種の『意志』を持った、人とは別の自立したモノとして『機械自身の人生や世界』を生き始めるではないかと、我々は想像をたくましくしている。『ヒトラーを称賛した!』『人類を滅亡させると言った!』に対する慌てぶりには、私たちのそんな恐れが投影されています。

 人間が生み出すテクノロジーのほとんどは、アンコントローラブルな部分を含んでいます。現時点で、その最大のものは原子力発電所であり、核です。断言できますが、人類はいまだ誤謬、誤動、誤用のないテクノロジーを所有したことはない。

 あと20年もしないうちに、ほぼ人間に近い、あるいは人間を超える知性を持ったAIは確実に登場すると思います。おそらく、今ある職業のうち、自動化可能なものはAIを積み込んだ機械に取って代わられます。わざわざ機械ではなく人間が行うものは、『贅沢品』とか『ラグジュアリー』とか言われるのだろう、と想像しています。

 今はまだ、最先端のAIも驚異的な学習能力を持った無垢な3歳児のようなものです。できれば、この3歳児がドラえもんやアトムのように『良心=関係をより良いものへと昇華させる知恵』を持った機械として進化することを願ってやみません。世界中のAI技術者のみなさま、どうか、よろしくお願い申し上げます! いや、ホントに(笑)」(同)

 近い将来、ドラえもんやアトムのようなAIが生まれるか否か。その行方を見届けられるという点は、現代を生きる我々の特権といえるのかもしれない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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