夫婦で月額年金支給10.8万!民間老人ホームは一人月25万、公営は50万人待機
社会保障体制崩壊の危機に政治は無策・無頓着
本連載の前回記事『貧乏の元凶、人生の3大無駄遣い! 5千万円の資産形成は簡単! 住宅ローンや保険はNG!』で、これからの老後環境がますます厳しいものになることを紹介し、家族でコングロマリット(複合型)収入確保へとシフトしておかないと、老後の資産形成もおぼつかないというリスクを解説しました(詳しくは拙著『老後に5000万円が残るお金の話』<ワニブックス刊>より)。
今から44年後の2060年には、日本では65歳以上高齢者の人口に占める比率が4割を超えています(現行は26%)。ちょうど現在20代がこの層へ仲間入りをする頃で、現在30代以上の方が75歳以上の後期高齢者へと加わる頃です。
その頃には、社会保障体制も大きく崩れていることが予想されるのです。おそらく年金の支給開始年齢も、現行の65歳支給から70歳もしくは75歳へと延期され、給付額も現行平均の19万円(夫がサラリーマンで妻が専業主婦だった65歳以上高齢者夫婦の合計額)が3~5割減らされて9~13万円ぐらいになっていることでしょう。
医療費も現行の3割負担が5~6割負担が当たり前となり、介護保険も現行の1割負担が4~5割負担となっていることでしょう。最後のセーフティネットである生活保護にしても、現行の半分以下の支給条件なら御の字といえるぐらいになっているはずです。
過去20数年、少子高齢化が云々されてきて、現役世代と高齢者世代の人口バランスが崩れていく実情を、なんの手も打たずに放置してきたのですから、日本国民は今後ますます厳しい現実を突きつけられます。
こういう現実に、多くの現役政治家は見て見ぬフリをしてきました。近頃、「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名ブログに慌てふためいて、今夏予定の参院選を前に安倍政権は、場当たり的な弥縫策として保育基準緩和・労働強化と保育士の月額給与6000円増だけ打ち出しましたが、選挙で当選しつづけ自己保身することだけが目的と化しているような国会議員だらけの政治環境では、抜本的な改革は望めません。
安倍政権にとっても「憲法9条改正」だけが悲願の主力政策でしょうから、社会保障の問題などは貧乏な国民が喘ぐだけのことなので、適当に先送りしていきたいのが本音でしょう。 歴代政権は、そうやって高度成長期以来、バラマキの借金財政を続け、自分たち一族さえよければよい――という世襲のお坊ちゃま、お嬢ちゃまたちが政権中枢を担ってきたのですから、これも致し方なく、国民はいい面の皮だったというだけなのです。