5月11日に夏商戦に向けた発表会を実施したNTTドコモは、スマートフォン(スマホ)よりもサービスに重点を置き、傘下のショップジャパンや、らでぃっしゅぼーやの製品を紹介。大手携帯電話会社(キャリア)の発表会としては異例の内容となった。だがこうしたドコモの取り組みは、他のキャリアにも共通する流れとなりつつあるようだ。
スマホよりも暮らし関連のサービスに重点
今年も夏のボーナス商戦が近づくなか、大手キャリアも新製品やサービスを次々と発表している。なかでも先陣を切って5月11日に発表会を実施したのが、ドコモだ。
夏・冬の商戦期における各社の新製品発表会は、従来スマホの新機種を大きくアピールするなど、ハードに注目が集まる傾向が強い。だが今回の同社の発表内容を振り返ると、その内容は従来とは大きく異なるものだったといえる。
というのも、今回の新機種は、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia X Performance」やサムスン電子の「Galaxy S7 edge」などハイエンドモデルの要所を押さえているものの、端末数はスマホが5機種、全体でも7機種にとどまっている。昨年の夏モデルはスマホだけで10機種を投入していたことを考えると、いかに新機種の数が減少しているかがわかる。
一方で、今回の発表会で重点が置かれていたのは、「暮らしの快適さ」に重点を置いたサービスであった。新サービスの内容を見ても、VoLTEの音質を大幅に強化し、FMラジオ並みの品質で通話ができるようになった「VoLTE(HD+)」のほか、スマホのディスプレイに触れることなく通話の発着信ができる「スグ電」、必要な時に使い方のヒントが現れる「おすすめ使い方ヒント」など、先進性を感じさせるものというよりも、スマホに不慣れな人をサポートする取り組みを拡大している。
そしてもうひとつ、今回の発表会では、通信販売サービスのショップジャパンを展開するオークローンマーケティングや、食品の通信販売を手掛けるらでぃっしゅぼーや、料理教室を展開するABC Cooking Studioなど、ドコモ子会社の新製品と、自社サービスを連携させ、暮らしの快適に関するサービスを実現する取り組みを前面に打ち出していた。こうした点からも、ドコモの新製品発表内容が、大きく変化していることを見て取ることができるだろう。