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韓国、「頭脳の海外流出」が深刻化…博士号取得でも非正規雇用で薄給、劣悪な研究施設

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「Thinkstock」より

 世界的な成功者が増えている理系の技術・研究職。日本でも、文部科学省が「理工系人材育成戦略」を打ち出すなど何かと注目される機会が増えているが、韓国では少し事情が異なるようだ。

 7月17日、韓国・生物学情報研究センターは、科学技術者1500人を対象にした理工系人材の頭脳流出(Brain Drain)問題に関するオンライン調査結果を発表した。その中に、「1年以内に就職しなければならない時、(韓国)国内・国外のどちらを優先的に選択するか」という設問があった。これに対して47%が「海外就職を選ぶ」と答えているという。

 海外の就職先を探すとした回答者(470人)は、主な理由として、「研究施設や研究環境などの研究インフラがよい」(42%)、「待遇がよくなる」(30%)などを挙げている。

 調査した研究者たちは、頭脳流出が深刻化しているとした上で、韓国は「研究の独立性が確保されにくい」「国内での仕事が不足している」「先進国よりも処遇が劣悪」といったことが、その理由だと指摘している。なお、海外赴任経験がある理系研究者301人は、海外で満足した部分として「研究者の待遇」を挙げた。

 韓国国内では、大学卒の銀行員年俸が約4000万ウォン(約400万円)。一方、理工系、特に食品産業・バイオ系は博士号を取った人で、ようやく4000万ウォン程度の初任給をもらえる。さらに、企業の研究開発(R&D)に割く資金の割合が低く、会社の運営が困難になると、最初に研究開発分野の人材が解雇されるという。

「国内で博士号まで取得したが、現在の研究機関では非正規職かつ薄給で働いている。博士号を持った人々の正規雇用口があまりにも不足していて、大学の教授職ですら非正規職が増えてきている」(韓国の理系研究者)

 5月に科学技術政策研究院(STEPI)が発表した「理工系人材の国内外流出入数値と実態」という報告書によると、韓国から海外に流出した博士号を持った理工系技術者の数は、2013年の時点で8931人に上ったという。06年には5396人だったので、65.5%も増加していることになる。またスイス国際経営開発研究所(IMD)が発表している「世界人材レポート」(IMD World Talent Report 2015)でも、韓国は調査対象61カ国のうち、「頭脳流出による国家経済の競争力の低下」が18番目に深刻な国と指摘されている。

 韓国社会では、理系より文系のほうが就職や待遇が厳しいといわれている。インターネット上の書き込みなどを見ると日本同様、理系は羨望のまなざしを集めているように映るが、実態は理系ですら待遇や雇用状況が非常に厳しいようだ。
(文=河鐘基)