ソニーが10月13日に日・米・欧、アジアでゲーム機「プレイステーション(PS)VR(バーチャルリアリティ<仮想現実>)を発売する。
予約分が早期に売り切れとなるなど、前人気が高まっている。ゲームソフト各社も、これを機に主力作品を投入する計画。しかし、VRを支えているのは、裏方ともいえる企業である。代表的な企業に東証マザーズに上場するCRI・ミドルウェアがある。
プレステVRの価格は4万4980円で、従来のゲーム機PS4に接続して遊ぶことができる。これとは別にプレステVRの動きを検知するための「PSカメラ」(5980円)も必要。ヘッドマウントディスプレーを装着することにより上下・左右・前後の360度すべてがゲームの空間となる。物語に入り込む格好となるため、臨場感が各段に向上する。
人気の「ファイナルファンタジー(FF)」(スクウェア・エニックス)、「バイオハザード」(カプコン)などの大作をはじめ、ソニーでは年内に50作品以上を揃える方針とされる。プレーヤーがFFやバイオハザードの中に入り込み、主人公としてリアルに活躍するような感覚を楽しめるのだ。
VR酔いのない高水準の技術
CRIはゲーム開発や遊技機向けのミドルウェアが主力事業。映像や音声に特化した基盤ソフトに強みがある。ゲームで培った高度な技術を、VRに展開している。プレステVRでは、対応版ゲーム向けの音声・動画ミドルウェアを手がけている。全天球動画・立体音響に対応した、ゲームソフトに対応。リアルな感覚は同社の技術が可能にした。
VRでは「VR酔い」と呼ばれる現象が懸念されているが、これは粗悪なソフトが原因で起きる。同社では高性能なゲームでのスムーズに動く映像を手がけており、VR酔いのない高水準な映像を提供できるという。
ゲームのタイトルに採用されるかたちとなるが、スクエニとはゲームで包括的なライセンス契約を締結。各種スクエニのタイトルには同社のミドルウェア「CRIWARE」が提供される。
また、セガゲームスのミドルウェア「アクロアーツ」事業を継承。セガ以外のゲーム会社への販売戦略が可能になった。大手への採用実績は、他社への採用という波及効果が期待される。音声・動画ミドルウェアを展開しているのは国内では同社だけで、今後は中国など世界でも展開していく予定だ。
プレステVRが発売後に予想通りの人気となれば、同社のビジネスチャンスが増えることが予想される。