「買い物が不便な」楽天に凋落の影…アマゾンとの差歴然、ページ見にくく商品検索も難
国内最大のインターネットショッピングモールで、日本のネット通販やEC事業を飛躍的に発展させた「楽天市場」に凋落の影が見えている。
先月発表された今年上半期の連結業績(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比約12%減、電子商取引(EC)事業の同期営業利益にいたっては約25%減と散々な結果となってしまった。
すでに利用者数で上回っているとされるアマゾンをはじめ、多くの競合サイトが台頭したことが一因と考えられるが、楽天の運営方針に問題はなかったのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に、マーケティングの観点から分析してもらった。
楽天はあくまでも商店街組合
「消費者が商品を購入する場合、アマゾンと楽天市場では形態が違うということをまず理解しなくてはいけません。多くの商品を一カ所から購入できるアマゾンが“一企業”だと考えると、 『バーチャルモール』(仮想商店街)に出店している個別企業から商品を購入するのが楽天市場です。つまり楽天は、店舗に場所を提供しているだけの“商店街組合”といえるのです」(有馬氏)
楽天は、あくまで仲介者という立ち位置なので、実際の商品購入先である店舗とは別のものと考えなくてはならない。つまり、店舗の信用は個別の企業に委ねられており、楽天自体が直接的にどうこうするのは難しいものなのだ。2013年にプロ野球の東北楽天イーグルスが初優勝を成し遂げた際、楽天市場の出店店舗による「優勝セール」をうたった不当な便乗商法が取り沙汰されたのも、楽天が各店舗のセールの実態を把握していなかったために起きた問題だといえるだろう。
店舗ごとに異なる各種サービスと検索ワード
さらに、ほかにも弊害があるという。
「“お店が違う”ために、送料やポイント数などが統一しづらく、クレームや返品などの顧客対応や問い合わせ窓口の一元化も難しいという課題があります。さらに、消費者にとってもっとも不便なのが、商品の検索ワードが店舗ごとに異なることで、検索結果の精度が低下してしまうという問題です」(同)
ユーザーの買いたいものが明確に決まっていて、商品型番を入力できるのであればいいのだが、そういった消費者は少数派。たとえば漠然と「●●タイプのベッドを購入しよう」と考えたときに、この●●部分の表現がアマゾンとは違い、楽天市場では統一されていない。そのため、なかなかひとつの検索結果で関連商品をまとめてチェックできない、というデメリットがあるのだ。