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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

「買い物が不便な」楽天に凋落の影…アマゾンとの差歴然、ページ見にくく商品検索も難

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

ユーザー無視の商品ページレイアウト

「また、楽天は各店舗が自由に商品ページを構築できるために、フォーマットがバラバラです。それが、消費者の検索を不便にしています。値段やスペックなどの機能性が記述されている場所や表現も、店舗ごとのページレイアウトによって大きく異なります。また、ECでの購買で消費者が非常に重視する使用者のレビュー欄も店舗の数だけ存在しています。さらに、レビュー欄に商品と店舗双方の評価が混在して記述されていて、消費者が知りたい情報に辿り着くまでに相応の時間を要することになります。以上のことから考えると、比較購買のしづらさにより、消費者が楽天での買い物で気にいった商品を探し当てるまでには非常に時間がかかることになるのです」(同)

 楽天市場で商品を購入した際に、購入ボタンにたどり着くまでに商品ページを延々とスクロールしなくてはいけなかった、という経験をしたユーザーも少なくないだろう。それに比べてアマゾンは、どの商品でも簡素なページフォーマットで統一されている。ユーザーがわかりやすいほうに流れるのは、自然なことだ。

 他社の企業努力はそれだけではない。アマゾンは消費者に合った商品を提案する機能や送料無料化、配送時間指定のサービスをいち早く始めてニーズを捉えている。また、ヤフーは幅広いリアル店舗でも使えるCCCのTポイントを採用するなどして、ポイントの利便性が閉鎖的な楽天ポイントとの差別化を打ち出している。

アパレル系中心に「百貨店」型のサイト運営を

 一方、楽天は多角的にビジネスを進めた結果、中核であるはずのEC関連事業のブラッシュアップに遅れを取っている、と有馬氏は指摘する。

「楽天が盛り返す方法のひとつとして、ターゲットとなる消費者に利便性を提供する、という運営方針にもう一度立ち返る必要があると感じています。たとえば、楽天市場のなかで商品ラインナップが豊富な印象が強いアパレル系のアイテムに目を向けて、その分野の店舗のフォーマットを統一し、その上で商品の個性をアピールできるようなページレイアウトをつくるなどして、まずはわかりやすくすることが重要でしょう。“商店街”ではなく、より比較購買のしやすい“百貨店”を目指すことで、ユーザーに再び『買いたい』『また来たい』と思わせられる可能性もあるのではないでしょうか」

 楽天は今、自分たちが誰に向けてビジネスをしているのかを、もう一度立ち返って考える必要に迫られているのではないだろうか。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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