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舘内端「クルマの危機と未来」

トヨタの新型プリウスPHV、満充電に14時間…それでも人類の目指すべき方向性に一致

文=舘内端/自動車評論家、日本EVクラブ代表
トヨタの新型プリウスPHV、満充電に14時間…それでも人類の目指すべき方向性に一致の画像1トヨタの4代目プリウス(「Wikipedia」より/Turbo-myu-z)

 

新型プリウスPHVは充電できるハイブリッド車

 
「充電しないと走れないハイブリッド車(HV)はいらない」

 あるドイツ車のディーラーを訪れた客が、こう言ったという。販売員がPHV(プラグイン・ハイブリッド車)を勧めた時の反応だ。そのドイツメーカーのPHVのカタログを見ると、ガレージに停められたPHVに充電用のケーブルがつながれており、その先には壁に取り付けられた決して小さくはないコンセントの箱がある。この客はどうやらこうしたカタログ写真やインターネット上での紹介写真などを見て、「このHVは充電しないと走れない」と誤解したらしい。実際には充電の必要はなく、駆動用電池の電気が空でも走れる。

 PHVに対する誤解はまだ続く。PHVを購入したら急速充電器を自宅に備えなければならないと思っている人もいる。そんな必要はないのだが、この誤解はEVの導入期にもあった(注1)。EVも自宅に急速充電器を設置せずとも充電は可能だ。
 
 PHVは、まだ知られていない。販売には原点に還った情報発信が必要のようだ。そうした折に、トヨタ自動車からPHVが発表され、メディアを対象とした試乗会(サーキット)が開催された。サーキットでもしっかり走れる運動性能を持っていた。

 しかし、問題は充電である。そこで、発売は今冬に持ち越されるが、PHVに対する誤解を払拭すべく、早くも情報戦を開始したということだろう。

プリウスPHVの充電はどうするのか

 誤解の多いPHVの充電だが、そもそも「自動車が充電できる」という考え方が誤解の元だ。「自動車はガソリンで走るものだ」と考える人たちは、まだ多い。

 世界初の量産ハイブリッド車であるトヨタのプリウスは、京都で開かれた気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)に合わせたかのように、1997年の12月に発売された。電動車に対する誤解は、このクルマから始まった。

 初代プリウスが発売になると、「自動車がモーターで走れるわけがない」「音がしなかったら危なくてしょうがない」「走っている最中にエンジンが止まるのは危ない」「バッテリーの電気がなくなったら走れない」「充電はどうするのだ」といった誤解が満ち溢れ、そうした問い合わせにトヨタは右往左往した。

舘内端/自動車評論家

舘内端/自動車評論家

1947年、群馬県に生まれ、日本大学理工学部卒業。東大宇宙航空研究所勤務の後、レーシングカーの設計に携わる。
現在は、テクノロジーと文化の両面から車を論じることができる自動車評論家として活躍。「ビジネスジャーナル(web)」等、連載多数。
94年に市民団体の日本EVクラブを設立。エコカーの普及を図る。その活動に対して、98年に環境大臣から表彰を受ける。
2009年にミラEV(日本EVクラブ製作)で東京〜大阪555.6kmを途中無充電で走行。電気自動車1充電航続距離世界最長記録を達成した(ギネス世界記録認定)。
10年5月、ミラEVにて1充電航続距離1003.184kmを走行(テストコース)、世界記録を更新した(ギネス世界記録認定)。
EVに25年関わった経験を持つ唯一人の自動車評論家。著書は、「トヨタの危機」宝島社、「すべての自動車人へ」双葉社、「800馬力のエコロジー」ソニー・マガジンズ など。
23年度から山形の「電動モビリティシステム専門職大学」(新設予定)の准教授として就任予定。
日本EVクラブ

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