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ルネサス、「巨額減損リスク」浮上…トヨタら自動車会社の言いなり&買い叩かれ自立遠のく

文=編集部
ルネサス、「巨額減損リスク」浮上…トヨタら自動車会社の言いなり&買い叩かれ自立遠のくの画像1ルネサス新社長に就任した呉文精氏(画像:ロイター/アフロ)

“日の丸半導体”が、ようやく攻めに出る。

 自動車用半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、同業の米インターシルを買収する。買収金額は約3219億円(1ドル=100円換算、以下同)で、資金はすべて手元資金でまかなう。ルネサスの2016年6月末時点の現金・預金は3975億円だ。17年1~6月期中に買収を完了させ完全子会社にする。

 ルネサスは、日立製作所および三菱電機の半導体部門が統合したルネサステクノロジと、NECエレクトロニクスが合併して、10年に発足した。東日本大震災で工場が壊滅的な被害を受け、業績が急速に悪化。13年に官製ファンドの産業革新機構やトヨタ自動車、日産自動車などから巨額の出資を仰ぎ、危機を回避した。

 革新機構のもとで人員削減などの大リストラを実施し、15年3月期には発足以来初となる823億円の最終黒字を達成。不採算製品からの撤退を進めたため、売上高は発足当初の11年3月期の1兆1379億円が16年同期には6933億円と4割減った。

 自動車用半導体では世界でトップシェアだったが、今では3位。首位のオランダNXPセミコンダクターズ、2位の独インフィニオンテクノロジーズを追う立場だ。

インターシルの買収効果は営業利益ベースで170億円を見込む

 インターシルは1999年に米情報通信制御機器大手のハリスコーポレーションから分社して設立。電圧の制御に使われるアナログ半導体に強みを持つ。主な顧客は米マイクロソフト、オラクル、グーグル、中国の通信機器大手のファーウェイなど。15年12月期の売上高は521億円、営業利益は訴訟引当金を計上したことから14億円の赤字、純利益は7億円の黒字だった。

 一方、ルネサスはマイコンと呼ばれる半導体が特徴で、トヨタや日産など自動車メーカーが顧客。インターシルとは顧客や製品面で重複が少ない。インターシルを子会社にすることで、営業利益ベースで170億円のシナジーを見込んでいる。インターシルの純資産は954億円。買収額3219億円との差額2265億円が「のれん代」となる。

 ルネサスは決算期を3月から12月に変更するため、16年12月期は9カ月の変則決算となる。17年12月期には国際会計基準に移行する。日本の会計基準では、のれん代は20年以内の均等償却だが、国際会計基準だと毎年、厳格な減損テストを行い、インターシルの業績が悪化すれば減損損失を一気に計上しなければならなくなる。減損処理が必要になれば170億円程度の利益貢献など吹っ飛んでしまう。

BusinessJournal編集部

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