小売業界や外食チェーン、食品スーパーなどで「セルフレジ」を導入する店舗が増えている。
セルフレジは、レジ係の代わりに客自身が端末を使って商品のバーコードを読み込み、料金を投入して会計を行い、商品を持ち帰るというシステムだ。2000年代はじめから都市部で導入が始まり、レンタル大手のTSUTAYAやゲオグループ、西友やイオンなどの食品スーパーでよく目にするようになった。
最近も、ジーユー、無印良品、マクドナルドの一部店舗が相次いで試験的にセルフレジを導入。さらに、商品のチェックは店員が行い、会計だけ機械で行う「セミセルフレジ」も登場するなど、それぞれの店舗の特性に合わせて、セルフレジそのものも進化している。
しかし、セルフレジは店舗側の説明不足のために使い方がわかりづらく、客側のメリットも少ないため、利用率は低いとの見方もある。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やインターネットの掲示板には「セルフレジうざい」などの批判的な声も多く、なかには「セルフレジを使ったら万引き犯に間違えられて会社をクビになった」という体験談も散見されるなど、トラブルも多発しているようだ。
各業界で導入の動きが広がり、当たり前の光景になりつつある一方で、トラブルも増えているセルフレジ。実際、セルフレジの現場では何が起きているのか。各店舗に足を運んで調査した。
TSUTAYAのセルフレジで警報が鳴るトラブル!
まず、早い時期からセルフレジを導入し、設置店舗数も多いTSUTAYAに行ってみた。
TSUTAYAでDVDなどをレンタルしてセルフレジを利用するには、会員カードを通して商品のケースに貼られているバーコードをスキャンし、さらに万引き防止のタグを外した上で機械に料金を投入しなければならない。
まさに、従来のレジ係が行っていた動きそのもので、最初のうちは「店員ごっこ」をしているようで楽しかったのも事実だ。しかし、当然ながら、やっているうちにだんだん億劫になってくる。特に、設置された磁石で万引き防止タグを引き抜く作業にはコツも必要で、かなり面倒だ。
実際、足を運んだ店舗では、この作業を省略して商品を持ち帰ろうとした客もいて、出口で警報が鳴り響いてしまい、ちょっとした騒ぎになった。周囲を見わたすと、学生などの若い客は慣れた手つきでセルフレジを使いこなしているが、中高年の客はわざわざ混んでいる有人レジに並んでいた。そもそも、なぜTSUTAYAはセルフレジを導入したのか。