2月10日に日米首脳会談が予定されているが、日本政府は何を要求されるのか戦々恐々としている。米国側から自動車の不均衡貿易を追及されると予想されているが、その理由が、1月25日に財務省が公表した2016年分貿易統計に如実に表れている。
表1を見ていただきたい。昨年の日本の貿易収支は、全体(対世界)で約4兆円の黒字だが、対米国だけで6兆円以上の黒字である。輸出総額の約20%を米国向けが占め、米国以外での約2兆円の赤字を補い、さらに4兆円もの黒字を出すことができた。対中国の赤字分を米国への輸出でカバーしたともいえる。
過去10年間でも、全体の貿易収支が赤字だろうが黒字だろうが、対米国だけで3~8兆円の黒字だ(表2参照)。そのなかで突出しているのが自動車だ。毎年2~5兆円も輸出している。輸出金額2位の自動車の部分品は1兆円にも満たない(表3参照)。まさに、自動車さまさま、米国さまさまの状況なのだ。
一方、日本が米国から輸入している自動車は、16年の実績が約901億円。米国が貿易収支、特に自動車の貿易不均衡を訴えるのは当然のことだろう。
トランプは貿易不均衡を許せない
1月28日の日米電話会談で「安倍首相は『日本の自動車メーカーは米国内で150万人の雇用を生み出している』と既に米国経済に貢献している現状を説明した」(1/31付読売新聞)というが、トランプ大統領は現状で満足していないのは明らかだ。「日本政府は『トランプ氏は首脳会談で必ず自動車を取り上げる』(高官)と見ており、こうした現状を説明し、理解を求めていく方針だ」(同紙)といっても、到底理解はしてくれないだろう。
貿易統計を見れば、米国に「貿易不均衡だ」と追及されれば弁解のしようがない。米国への輸出のトップが自動車で4兆4115億円、第2位が自動車の部分品で8632億円。自動車関連だけで5兆2747億円輸出している。米国が「貿易不均衡の元凶が車だ」と主張するのも無理はない。
「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領は「米国が赤字になる貿易は許せない」のだ。6兆円も日本が黒字になっていることこそ、貿易不均衡を証明している。米国側は「日本の貿易黒字をどこまで減らすことができるのか」を要求してくるはずだ。日本での販売数量の少ない米国車の輸入を増やそうと思っても、何をしようがすぐに数千億円もの販売増が見込めるわけがない。