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残業代未払いの違法な「朝残業&持ち帰り残業」蔓延…夜の一斉消灯&退社等の副作用

文=溝上憲文/労働ジャーナリスト
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残業代未払いの違法な「朝残業&持ち帰り残業」蔓延…夜の一斉消灯&退社等の副作用の画像1「Thinkstock」より

 安倍政権の「働き方改革実現会議」で残業時間の上限を決める具体的な検討が始まった。

 日本で長時間残業が蔓延する原因の1つは、法的規制の緩さにある。労働基準法では使用者は1日8時間、週40時間(法定労働時間)を超えて労働させてはならないと定めている。しかし、実態は労基法36条に基づく労使協定(36<サブロク>協定)を結べば、1週間15時間、1カ月45時間、1年間360時間という限度内で働かせることができる。さらに特別延長時間に関する「特別条項付き36協定」を結べば、限度時間を超えて無制限に働かせることができるのだ。

 これに対しEU加盟国では、「7日ごとの平均労働時間が、時間外労働を含めて48時間を超えない」(EU労働時間指令)ことになっている。この48時間は、日本の法定労働時間とは意味が違う。残業時間を含めて週48時間以上働かせてはならないとする“絶対的上限規制”だ。

 現在、政府が出している原案は、労基法36条を改正し、原則として上限を月45時間、年間360時間とし、その上で36協定によって年間720時間、月平均60時間を上限に認めようというものだ。さらに繁忙期は月間最大100時間、2カ月間の月平均80時間を認めるが、年間720時間を超えることは許されない。違反企業には罰則を科すことにしている。

 この規制によって今より多少は残業の削減につながるだろうが、根本的な解決にはならないだろう。なぜなら、規制を避けるために今以上にサービス残業が横行する可能性もある。サービス残業の実態について、建設業の人事部長はこう指摘する。

「我々の業界に限らないが、人事部が残業時間を正確に記録するように要請しても、部署によっては管理職が残業を記録しないように指導するとか、社員自ら残業を記録しない行動をとる。実際の残業時間と申告された残業時間のギャップが大きいのが実態ではないか」

持ち帰り残業

 だが、最近は労働基準監督署の取締り強化や電通の新入社員過労自殺が送検、社長辞任にまで発展し、残業規制を強化する企業も増えている。「全社消灯」「ノー残業デイ・ノー残業月間の実施」「残業許可制・定時等の強制退社」などの実施によって社員を会社から閉め出そうとする作戦である。

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