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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

ビタミンCは風邪に効く、はデタラメ?サプリ等の合成モノは体に有害?尿路結石に?

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ビタミンCを摂り過ぎると尿路結石になるのか?


 ビタミンCがどのように分解され排泄されるのか、という問題は、実は現在でも完全には解明されていません(参考文献3)。

 ビタミンCの代謝物のひとつにシュウ酸があり、尿中のシュウ酸が増加すると、シュウ酸カルシウム結石という尿路結石の原因になります。この点から考えると、ビタミンCを摂り過ぎれば尿路結石が増え、場合によっては腎機能にも問題が起こる、という推測が可能です。

 ただ、実際には大量のビタミンCを注射するような治療を行なっている患者さんでも、急性の腎不全や尿路結石を起こしている方はごくわずかです。余分なビタミンCがすべてシュウ酸に変わるのであれば、もっとそうした患者さんは増えるのが道理で、そこは少し道理に合わない感じがあるのです。実はビタミンCの代謝物はシュウ酸だけではなく、一部の代謝物が再びビタミンCに戻るような経路もあるので、ことはそれほど単純ではないのです。

 通常1日1000mgまでのビタミンCでは、大きな問題は起こらないと考えて、問題はないようです。

天然と合成のビタミンCは違うのか?


 ビタミンCはアスコルビン酸(L型)という物質で、この構造自体は一種類なので、物質の性質は同一のはずです。しかし、合成のビタミンCは廉価な中国製のものが主に流通していて、その構造が完全に天然のビタミンCと同一、という保証はどこにもありません。

 また、ビタミンC(アスコルビン酸)は非常に酸化されやすい不安定な物質で、複数の代謝物が混合することにより、その性質は変化する可能性もあります。天然のビタミンCにはシュウ酸なども一緒に含まれているので、それが影響するという可能性も否定はできないのです。従って、天然と合成のビタミンCが完全に同一とは言えないのですが、天然のほうが健康的とも言い切れません。

 ただ、体は代謝物を含めて、ビタミンCをうまく活用するような仕組みを持っているので、どのような組成のビタミンCが体に入っても、大きな差は生じないのでは、という推測は可能なのです。

ビタミンCを巡る謎のまとめ


 ビタミンCは風邪の治療には無効です。風邪予防には一定の効果のある可能性がありますが、アスリートや子供以外では、確実に効くという根拠は乏しいようです。大人で1日1000mgくらいまでのビタミンCは体には安全と考えて良く、それを超える量では尿路結石の危険性が増しますが、その発症は体質にもよるようです。天然のビタミンCも合成のビタミンCも、適切につくられ管理されていれば、大きな差はないと考えて良いようです。皆さんも、ビタミンCと賢く付き合ってください。
(文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長)

【参考文献】
(1) Pauling L. The Significance of the Evidence about Ascorbic Acid and the Common Cold. Proc Nat Acad Sci U.S.A. 1971 Nov;68(11):2678-2681.
(2) Hemila H, Chalker E. Vitamin C for preventing and treating the common cold. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jan 31;(1):CD000980.
(3) Knight J, Madduma-Liyanage K, Mobley JA, et al. Ascorbic acid intake and oxalate synthesis. Urolithiasis. 2016 Aug;44(4):289-97.