ビタミンCは風邪に効く、はデタラメ?サプリ等の合成モノは体に有害?尿路結石に?
ビタミンCをめぐる謎
ビタミンC(アスコルビン酸)はサプリメントとしても非常にポピュラーなものですが、その効果や安全性については、さまざまな意見があります。ビタミンCは風邪の予防や治療に有効、という意見がある一方で、「ビタミンCは風邪には効かない」という発言をテレビなどで繰り返している専門家もいます。
それから、ビタミンCはたくさん摂っても安全、という意見がある一方で、ビタミンCを摂り過ぎると尿路結石の原因になる、といわれることもあります。さらには、ビタミンCはどれでも同じ、という意見がある一方で、天然のビタミンCは体に良いけれど合成されたビタミンCは体に有害だ、というような意見もあります。
この3つの疑問に正解はあるのでしょうか? 今回はその点をなるべく実証的にみていきたいと思います。
ポーリング博士とビタミンC
ビタミンCが風邪に効くという話を世界に広めたのは、ノーベル賞学者の高名なライナス・ポーリング博士です。もっともその業績はビタミンCに関するものではありません。ポーリング博士が主張したビタミンCの有効性は、比較的少量で継続的に使用した場合の風邪予防効果と、大量に注射で使用した場合のがん抑制効果の2点でした。
このうち風邪予防効果については1970年代に論文(参考文献1)を執筆し、著作も残しています。これは、ポーリング博士自身が実験や研究をした、ということではなく、それまでに発表されていた臨床データを、まとめて検証し解説しているのです。そこでは、1日1000mgのビタミンCを継続的に使用することにより、風邪の発症は45%予防され、その罹患率は63%低下したとされています。
ただ、その時点では実際には不充分なデータしか存在はしておらず、多分にポーリング博士の名声により、ビタミンCは風邪に効く、という言説が広がったというきらいがありました。
「ビタミンCは無効」との意見の広がり
その後ポーリング博士の見解を確認する目的で、ビタミンCによる風邪予防の臨床試験が複数施行されました。その内容はコクラン・レビューとしてまとめて解析され、レポートの形で公表されました。