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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

ビタミンCは風邪に効く、はデタラメ?サプリ等の合成モノは体に有害?尿路結石に?

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長
ビタミンCは風邪に効く、はデタラメ?サプリ等の合成モノは体に有害?尿路結石に?の画像1「Thinkstock」より

ビタミンCをめぐる謎

 ビタミンC(アスコルビン酸)はサプリメントとしても非常にポピュラーなものですが、その効果や安全性については、さまざまな意見があります。ビタミンCは風邪の予防や治療に有効、という意見がある一方で、「ビタミンCは風邪には効かない」という発言をテレビなどで繰り返している専門家もいます。

 それから、ビタミンCはたくさん摂っても安全、という意見がある一方で、ビタミンCを摂り過ぎると尿路結石の原因になる、といわれることもあります。さらには、ビタミンCはどれでも同じ、という意見がある一方で、天然のビタミンCは体に良いけれど合成されたビタミンCは体に有害だ、というような意見もあります。

 この3つの疑問に正解はあるのでしょうか? 今回はその点をなるべく実証的にみていきたいと思います。

ポーリング博士とビタミンC

 ビタミンCが風邪に効くという話を世界に広めたのは、ノーベル賞学者の高名なライナス・ポーリング博士です。もっともその業績はビタミンCに関するものではありません。ポーリング博士が主張したビタミンCの有効性は、比較的少量で継続的に使用した場合の風邪予防効果と、大量に注射で使用した場合のがん抑制効果の2点でした。

 このうち風邪予防効果については1970年代に論文(参考文献1)を執筆し、著作も残しています。これは、ポーリング博士自身が実験や研究をした、ということではなく、それまでに発表されていた臨床データを、まとめて検証し解説しているのです。そこでは、1日1000mgのビタミンCを継続的に使用することにより、風邪の発症は45%予防され、その罹患率は63%低下したとされています。

 ただ、その時点では実際には不充分なデータしか存在はしておらず、多分にポーリング博士の名声により、ビタミンCは風邪に効く、という言説が広がったというきらいがありました。

「ビタミンCは無効」との意見の広がり

 その後ポーリング博士の見解を確認する目的で、ビタミンCによる風邪予防の臨床試験が複数施行されました。その内容はコクラン・レビューとしてまとめて解析され、レポートの形で公表されました。

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

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