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【スクープ!】あの著名コメンテーターの会社を襲った「悪質な」乗っ取り!驚愕の手口

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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 しかし、提携の話は進まず、スカラは数回SBに来社して説明をしたという。

「向こうから言ってきた提携というのは、紙一枚に書かれた内容のないもの。どうやら本当に提携する意思があるわけではないようでした。」(同)

 つまり、対外的に友好的な買収をしたというポーズをとるために提携話を持ちかけたというのだ。

敵対的な買収

 スカラは買収資金をかなりの部分を銀行から借り入れていた。そして、その後、スカラは社債発行などを通して、みずほ銀行と千葉銀行等から20億円ずつ調達している。

 しかしスカラの営業キャッシュフローは2016年8月期で5億7000万円程度。それをはるかに凌ぐ社債をなぜみずほ銀行が引き受けたのか。乗っ取りを前提とした資金調達だったのではないか。SBは現金だけでも約30億円あり、スカラは配当を支払うようSBに株主提案を求めていることから、それを社債などの償還原資に考えていたとみることもできないことはない。

 さらにSBには上場予定の子会社もあり、上場益も見込める。だとすれば、みずほ銀行や千葉銀行をはじめ資金提供した銀行団は乗っ取りの片棒を担いだと言っても過言ではないだろう。みずほ銀行や千葉銀行は「顧客情報なのでお話しできない」と頑なに口を閉ざす。

業務提携協議を打ち切り

 そして牙を隠していたスカラが本性を現したのは年末に入ってからだ。

 12月21日に梛野社長から「お伝えしたい重要な話があるから12月26日に訪問したい。常勤役員全員揃えてほしい」という要請があり、豊田社長は面会した。梛野、木下、新田各氏以外に田村健三会長がSBを訪問した。

 そして(1)取締役6名と監査役2名を送りたいこと、(2)できれば会社提案にしてほしいこと、(3)SB役員からもスカラの役員になってほしいこと、などを提案した。6名の取締役とはスカラの田村会長、梛野社長、木下常務、新田取締役、呉裕紀経営管理本部長と渡辺昇一社外取締役だ。

 これに対してSBは、面談に先立って12月26日の朝に、業務提携協議の打ち切りについて発表した上で、27日には取締役・監査役選任に関する株主提案を受領。これに反対することを表明した。

 そして2月24日には、スカラは、SBの子会社であるソフトブレーン・フィールドとの協業について発表した。これについてはSBの了承のないスカラ側の一方的な発表だった。そして3月3日にはスカラがSBの追加の株式取得し、過半数を超える株主となった。

 一連の乗っ取り劇について創業者の宋文洲氏は自身のメルマガで「このような『潜水艦による奇襲攻撃』のような方式による企業買収に不信感を感じざるを得ません」「私が持っている知識と資力を使って現在の経営陣をサポートする」とコメントしている。宋氏はさらに自身でSBと同様の事業目的を持つ新会社を設立するなどの動きを見せている。

 一方で敵対的な買収を仕掛けたスカラは「シナジー効果を狙ったもの。敵対的な買収を仕掛けたつもりはない」(同社IR担当者)という。

 果たして今後どうなっていくのか、3月末の株主総会で大きな山場を迎えることになる。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

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