「10日余りでそれだけの株式を購入することができるのか。実質的な共同保有者がいたのではないか。証券会社など金融機関は大量保有報告書の特例が認められており、大量保有報告書の提出は通常の5営業日以内ではなく2週間に1度に猶予されているので、そういった仕組みを利用したのではないか」(証券会社関係者)
しかし、証券取引等監視委員会は動かなかった。 7月14日には梛野社長、木下朝太郎常務、新田取締役、鈴木事業部長がSBを訪問し、以下の報告をした。
(1)保有株式が議決権ベースで45%を超え、国際財務報告基準(IFRS)で連結子会社に該当すること
(2)SBが希釈化アクションを採らない限り、追加買い増しをしないこと
(3)役員派遣はせず、独立した運営を続けていくこと。
この一連の買収劇でスカラはどのように資金調達したのか。7月30日付東洋経済オンラインの記事は、次のように報じている。
「ソフトブレーン株の取得に要した総額は43億円。・・・『総額の半分以上を、複数の銀行からの借り入れで調達した』(梛野社長)」と。
スカラの昨年の株主総会招集通知には、2016年6月30日時点の主要な借入先として、千葉銀行20億円、みずほ銀行5億円と記載されている。その前年の招集通知では、みずほ銀行2億円を含む合計3.5億円のみであり、千葉銀行とみずほ銀行からの借入れが買収資金に充てられたのは明らかだ。みずほ銀行はSBの経営陣に対しては「当時は敵対的買収だとは思わなかったが、現在では敵対的買収とみている」と説明したという。
しかし、大量保有報告書では「自己資金」と書かれている。いったいこれはどういうことなのか。
スカラは7月下旬に包括的な業務提携をSBに申し入れ、交渉がスタートするが、具体的な内容が出てこないことからSBは提携に躊躇した。
「スカラは8月15日の自分たちの決算発表に合わせて提携の発表を共同でやりたいという話を申し入れてきたのです。我々としては業務提携の話なんてしていないから、『そんなものにはサインなんてできない。そんなリリースなんて書けない』とお断りしたのです。そこを『なんとかならないか』と言って押し込んできたので、それなら『(両社による)業務提携等に向けた協議開始』のリリースを出すということで合意したのです」(同)