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安倍政権、豊洲市場を存亡の危機に…全国の卸売市場システム破壊、生鮮品流通が混乱も

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安倍晋三首相(「首相官邸 HP」より)

 小池百合子東京都知事が先の都議選直前、来年5月に築地市場を豊洲市場に移転をすると表明して、両市場の今後の扱いが都民から注目されている。
 
 このようななか、6月21日付日本農業新聞は政府が卸売市場における取引を規定する卸売市場法の廃止を検討していると報じ、全国の卸売市場関係者、そして豊洲に移転を余儀なくされる築地関係者の間で波紋を呼んでいる。

 もともとこの卸売市場法廃止問題は、2016年11月に安倍内閣が決定した農業競争力強化プログラムにおいて「卸売市場については、経済社会情勢の変化を踏まえて、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止する」とされ、これを受けて農林水産省が検討を進めていたものである。農水省は早ければ秋の臨時国会、遅くとも来年の通常国会に同法改正案を提出するとされている。仮に通常国会で審議されれば、来年5月過ぎには成立する可能性もある。

 豊洲市場でこれまで通りのルールで営業が行われると想定している市場関係者にとってみれば青天の霹靂であり、不安が募らざるを得ない。
 
 では、卸売市場法が廃止されたならば、卸売市場は一体どうなるのであろうか。同法は文字通り卸売市場を規制する法律であり、全国の中央卸売市場や地方卸売市場は、この法律に基づいて開設されている。そして、卸売市場内での取引ルールも定められている。たとえば、卸売業者と仲卸業者との取引ルールや売買参加者以外への販売の原則禁止、当該市場内以外での生鮮食料品等の卸売の禁止なども定められている。

 卸売市場法が廃止されれば、卸売市場を名乗ることができないばかりか、卸売業者が卸売市場や仲卸業者を通さずに生鮮食料品等を販売できるため、卸売市場が空洞化し、さらに仲卸業者は廃業を迫られる可能性が出てくる。要するに、卸売市場が成り立たなくなるのである。大手スーパーは、現在でも卸売市場を通さずに直接産地から農水産物を買い付けているが、小売業者は卸売市場の仲卸業者から農水産物を買い付けているケースが多い。つまり、仲卸業者に依存している小売業者も店を畳まなくならざるを得なくなる。

 こうした事態は豊洲市場でも生じる。築地の仲卸業者は豊洲移転後の経営がどうなるか不安を抱えているなかで、卸売業者と仲卸業者の関係にルールがなくなり、廃業に追い込まれかねないのである。そして、仲卸業者から築地ブランドの魚を入手してきた飲食業者や小売業者までが混乱に巻き込まれる懸念がある。

 東京都が年100億円近い赤字運営になると試算する豊洲市場は、卸売市場法の廃止により早々に存続の危機に見舞われかねないのである。
(文=小倉正行/フリーライター)

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