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東電、原発事故の賠償金支払い「値切り&踏み倒し」の驚愕の実態…6年間も企業を蹂躙

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東京電力ホールディングス・川村隆会長(ロイター/アフロ)

 東京地裁に提訴した1カ月後の2015年1月、A社はJR郡山駅前の高級クラブを閉めた。客足が戻らなかったのである。原発事故を引き起こした東京電力によって休業に追い込まれたのも同然だった。

 当サイト前回記事で触れた通り、東京電力福島第一原発事故に伴う賠償ルールは、加害企業である東電がいわば一方的に定めたものだ。

 東電がつくった賠償請求の手引き「補償金ご請求のご案内」の中に出てくる「精神的損害」の項目で、計算の参考にしているのは「交通事故」の算定基準である。交通事故に遭ってむち打ち症になり病院で加療した場合、治るまでにどのくらいの期間がかかったのかというケースを参考にしている。放射能汚染がひどい地域から避難した場合は1カ月につき10万円。しかも、原発事故から半年以降は減額されるとした。こうしたことを、加害企業である東電が被害者になんの相談もないまま勝手に決め、批判を浴びていた。

 最大の問題は、原発事故による被害者たちは交通事故とは次元の違う損害を被っていた、ということであろう。強制的に避難を強いられ自宅に住めなくなり、それと同時に近所付き合いもなくし、それまでの生活の基本だった農業や漁業といった仕事をまるごとなくし、果ては被曝までさせられるなど、何重にも損害を被っていた。今までの損害賠償理論からすれば、とても考えられないような事態が発生したのだ。何しろ前例がない。にもかかわらず、東電は無理やり「交通事故」のケースに当てはめようとしたのだった。

 そんな無茶なルールになど従えないと考える被害者は、原発ADRによる仲介や司法による裁定に助けを求めることになる。

 これも当サイト前回記事で触れたことの繰り返しになるが、原発ADRとは、国が原発事故の被害者のために用意した仕組みである。被害者の数があまりにも多かったため、そのすべてを裁判所で裁くと大混乱に陥り、被害者の救済も遅れるとして、迅速な解決を目指し、国(文部科学省)と法曹界の協力の下、原発ADRの制度が設けられた。

「原子力損害賠償紛争解決センター」(ADRセンター)における仲介費用は無料。同センターが個別の事情に応じた和解案を提示して、東電との賠償交渉を仲介してくれる。従って東電に対する損害賠償請求では、東電との直接交渉や裁判以外にも、このADRセンターを利用する道もある。

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