北米向け低価格液晶テレビメーカーの船井電機は、2018年3月期連結決算の見通しを下方修正した。売上高は従来予想より200億円減らし1400億円。営業利益は6億円の黒字から84億円の赤字、最終損益は2億円の黒字から174億円の赤字に転じる。
主力の北米市場で、中国メーカーが量販店向けに低価格テレビで攻勢をかけており、競争激化から売り上げが落ち込んだ。液晶パネルや半導体の価格が高止まりしたことが収益を圧迫、営業赤字幅が拡大した。アジアの子会社で液晶テレビの製造設備を減損処理し、100億円の損失を計上したため、巨額の最終赤字に転落する。最終赤字は16年3月期から3期連続となる。
家電量販店のヤマダ電機と組んで再開した国内のテレビ販売が唯一、堅調だった。17年4~9月期の液晶テレビの売上高は584億円。前年同期より110億円、23.1%増加した。ヤマダ電機と提携して6月から独占販売した「FUNAI」ブランドの4Kテレビは、49型が録画機能付で15万円を切るなど値ごろ感が受け、販売が好調だった。
ヤマダ電機が救済の手を差し伸べる
経営が悪化した船井電機の創業者、船井哲良取締役相談役(当時)は、国内テレビ市場への回帰を決断した。北米向けの低価格のOEM(相手先ブランド)生産の比重を下げ、国内向けの4Kテレビなど高品質の自社ブランドで勝負することにした。
船井氏はヤマダ電機の創業者、山田昇会長兼取締役会議長をビジネスパートナーとした。17年5月17日、両社の新製品発表会が開かれた。オーディオ・ビジュアル情報サイト「AV Watch」の5月17日付記事によると、この席上で船井氏の「手紙」が代読された。
「30数年前に東京フナイとして国内販売していた時期があり、日本全国の70ほどの家電量販店のうち大手40~50件と取引していた。当時のヤマダ電機は、激戦地の北関東を拠点としており、山田社長は“北関東の風雲児”として名を馳せていた。その時から一味違う企業と感じていたが、いまや2位を大きく引き離す日本を代表する家電量販店になった」