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出光興産、合併潰し狙う創業家の敗北が濃厚

文=編集部
出光興産、合併潰し狙う創業家の敗北が濃厚の画像1出光興産(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 出光興産昭和シェル石油の合併をめぐる、会社側と出光創業家の対立は越年し、 6月の株主総会に向けて双方とも“次の手”を打った。

 合併に反対する出光創業家の代理人の鶴間洋平弁護士は2017年12月18日、創業家が出光株式を買い増し、保有比率が26.1%から28.0%になったと発表した。

 買い増しは11月17日から12月18日までの間に断続的に実施し、計1.9%を約156億円で取得したという。創業家側は、さらに買い増しを続け、12月27日に新たに約0.5%の出光株式を取得した。「創業家の(合併)反対の意思に、いささかの揺るぎもない」(鶴間弁護士)としている。

 出光興産は15年11月、国内の石油需要の減少などを背景に、昭和シェルと経営統合することで合意した。合併には株主総会で議決権の3分の2以上の賛成による特別決議が必要だ。だが、株式の33.92%を保有していた創業者の長男、出光昭介氏ら創業家がこれに反対し、17年4月に予定していた統合は頓挫した。創業家は6月の株主総会で、統合を進める月岡隆社長ら経営陣の取締役選任に反対するなど対立が先鋭化した。

 そこで会社側は事態の打開に向けて攻勢に出た。17年7月、「財務基盤の強化」を理由に、発行済み株式の約3割にあたる新株4800万株を発行し、約1385億円を調達した。この結果、創業家の保有比率は26.1%にまで低下し、合併反対のための拒否権を失った。

 昭和シェルとの合併を諮る臨時株主総会をいつ開催するのか。総会で3分の2以上の賛成を得ることができるかどうかに焦点は移った。

 こうしたなか、創業家は出光株式を買い増し、公募増資で目減りした株式の保有比率を部分的に回復した。それでも、拒否権取得には遠く及ばない。前の水準まで回復させるには、さらに5.4%程度の買い増しが必要だが、多額の費用がかかるため実現の可能性は低いとみられている。

 創業家単独での合併阻止は不可能になったというのが厳しい現実だ。次善の策は、他の株主の賛同を得ることだ。つまり、出光株式の買い増しは「創業家の合併反対の意思に変わりはない」ことを内外に示すアピールといえる。

BusinessJournal編集部

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