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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

韓国、「対北朝鮮制裁」の国際協調破り単独行動…日本の援助を無駄に?

文=渡邉哲也/経済評論家
韓国、「対北朝鮮制裁」の国際協調破り単独行動…日本の援助を無駄に?の画像1韓国の文在寅大統領(右)と北朝鮮の金与正朝鮮労働党第1副部長(中央)(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 2月9日に開会式が行われた平昌オリンピックに合わせて各国の首脳が韓国を訪問したが、これを北朝鮮と親北派の文在寅大統領が利用するかたちで政治的なプロパガンダが行われている。

 文大統領は、歓迎レセプションで北朝鮮代表団と安倍晋三首相、アメリカのマイク・ペンス副大統領を同じテーブルにつかせようと画策したが、安倍首相とペンス副大統領は遅れて参加し、特にペンス副大統領はテーブルにつくことなく5分ほどで会場を後にしたことが報じられた。これは、アメリカからの韓国および北朝鮮への不信感の表明といえる。

 かねて日米は韓国に北朝鮮に対して厳しい姿勢を示すように求めているが、文大統領は相変わらず北朝鮮に接近を続けており、「ほほ笑み外交」に取り込まれようとしている。禁止されている「万景峰号」の入港を許可したほか、国際連合安全保障理事会による制裁対象者の崔輝国家体育指導委員長を開会式に出席させるため、国連に要請して制裁を一時的に免除させるなど、国際社会で一致して決めたはずの対北制裁を無効化する行為を連発しているのだ。

 また、9日に行われた日韓首脳会談では、安倍首相からの「米韓合同軍事演習を延期すべきではない」との主張に対して、「我が国の主権の問題であり、内政に関する問題だ」と不快感を示したほか、懸案だった従軍慰安婦問題「日韓合意」についても議論は平行線をたどった。

 一方で、文大統領は北朝鮮から要請を受けた訪朝に関して好意的な回答をしている。かねて「条件が整えば平壌に行く」と公言する文大統領は、なんとしても南北首脳会談を実現して自身の政治的遺産としたいのだろう。

 しかし、北朝鮮は依然として、核・ミサイル開発の手を止めようとしていない。平昌五輪開幕前日に行われた軍事パレードでは、大陸間弾道ミサイルの「火星15」などが披露され、金正恩朝鮮労働党委員長は「人民軍は高度の臨戦状態を維持し、戦いの準備にいっそう拍車をかけなければならない」と演説で述べている。

 北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄しない限り、日米にとって大きな脅威であると同時に、アメリカは軍事オプションも含めた制裁を検討することになる。実際、ペンス副大統領は安倍首相と会談を行った際に「最大かつ最も強力な内容の独自制裁措置を近く発表する」と明言している。

北朝鮮主導で南北統一の可能性も

 平昌五輪という一大イベントを契機に南北関係が改善すること自体は、評価していいのかもしれない。しかし、露骨な政治利用が続くことに「もはや“平壌五輪”なのでは」といった声も聞こえてくるのが実情だ。

 そもそも、韓国と北朝鮮が融和したところで朝鮮半島危機が終息するわけではなく、肝要なのは北朝鮮の非核化だ。また、今回のアプローチは北朝鮮主導で行われており、仮に南北統一が実現するとしても、このままいけば北朝鮮が主導権を握る可能性がある。核を持つ北朝鮮と、アメリカに見限られかねない韓国。北朝鮮のほうが立場は上だ。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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