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これまで、日米は韓国を「反共の壁」として利用してきた。中国やロシアとの間の緩衝地帯であると同時に、日本海の安全を守るための橋頭堡という位置付けだ。その代わりに、日本は韓国に膨大な資本投下や技術移転を行うことで発展を支え、いわば「自由社会のショーケース」として共存してきた。しかし、韓国が北朝鮮に懐柔されるかたちで統一すれば、これらはすべて無駄になるといっても過言ではない。
地政学的に見て、韓国は日本にとって非常に重要な位置にあり、日本海を軍事的対立線にしないための役割も持っている。しかし、韓国の国民が北朝鮮主導による南北統一を選ぶのであれば、それを阻止する手段はないに等しい。
かつて、日本の保守勢力と韓国の政界は深い関係を持っており、韓国の内政に日本の影響力を行使することもできた。しかし、今はそうした人脈が失われつつあるという側面もある。
日米、韓国に事実上の最後通牒か
すでに、世界は「平昌五輪後」の情勢を見据えている。欧米メディアからは「五輪が終わるまでは……」というフレーズが多く聞かれ始めている。振り返ってみれば、2014年のロシアによるクリミア侵攻もソチ五輪の閉幕直後であった。前述したアメリカの独自制裁も含め、五輪後に北朝鮮情勢に新たな動きがあったとしてもおかしくない。
平昌五輪・パラリンピック終了後の4月頃には米韓合同軍事演習や文大統領の来日も予定されているが、今は春に向けて政治的駆け引きが活発化しているともいえる。
かつて、太平洋戦争前の1941年11月に「ハル・ノート」と呼ばれる交渉文書がアメリカから日本に提示された。これは日本に中国およびインドシナからの撤退などを求める内容で、事実上の最後通牒とみなされている。そして、要求をのめなかった日本は開戦へと突き進むことになったわけだが、今回の日米首脳の訪韓は、ある意味で韓国に向けた「現代版ハル・ノート」といえるのかもしれない。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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