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そうした状態にあるため、首都圏第3空港を東京圏域につくることはできない。国土交通省内では、羽田・成田と干渉しない首都圏第3空港の検討が水面下で始められている。東京からの距離を勘案すれば、有力候補として挙がるのは、茨城空港か静岡空港のどちらかしかない。
茨城空港は自衛隊基地と併用しているため、旅客機の発着本数を簡単に増やすことはできない。また、東京圏から茨城空港までのアクセスはバスしかない。横田基地を軍民両用化するという案も出ているが、「軍民両用化すれば飛行機が絶えず発着することになります。基地周辺は市街化しており、騒音問題が解決できません」(前出・国土交通省職員)との理由から横田の軍民両用化は難しいとの判断がなされている。
援軍登場
一方、静岡航空に新幹線駅ができれば、東京から静岡空港へのアクセスは飛躍的に向上する。現在、東海道新幹線はダイヤ的な余裕はない。それも、中央リニアが完成すれば話は変わってくる。中央リニアの開業により、東海道新幹線のダイヤには余裕が生まれ、静岡空港駅は実現に向けて前進するだろうとの読みが国土交通省内にはあるのだ。静岡県の空港担当者も、こう期待を寄せる。
「現在、静岡空港は国内線・国際線が発着していますが、なによりも好調なのは静岡空港と中国各地を結ぶ便です。静岡は世界遺産の富士山もありますし、海の幸も美味しい。そうした観光コンテンツが、たくさんの中国人観光客を呼び寄せています。羽田・成田のキャパシティが限界なら、その分は喜んで引き受けたい」
リニアは2027年に開業を予定している。静岡空港駅が実現に動きだすとしても、かなり先の話ではある。また、談合問題で完成が遅れるとの観測も流れている。だが、国土交通省の鉄道局ではなく、およそ新幹線とは縁遠い航空局ではあるものの、援軍が現れたことは静岡県にとっても心強いことだろう。
援軍の登場により、静岡県の悲願である静岡空港駅は実現に動きだすのか。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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