八十八夜(今年は5月2日)も過ぎ、新茶が出回る季節になってきた。そのお茶の輸出が絶好調だ。
東京税関がまとめたレポート『海外で日本の「緑茶」が大人気!?』によると、2017年の緑茶の輸出量は4642トンで、前年比13%増。金額は144億円で前年比24.3%増となった。1988年の統計開始以降、数量・金額とも過去最高を記録した。
2007年は輸出量が1625トン、金額が32億円だったから、10年間で数量は2.9倍、金額は4.5倍に膨れ上がった。緑茶の144億円はウイスキー(136億円)やビール(128億円)の輸出額を上回る。
どんな国に輸出しているのか。貿易統計では緑茶は、「3キログラム以下の直接包装品」と「3キロ超の業務用包装品」の2分類あるが、「3キロ以下」でみると輸出先は64カ国・地域に及んでいる(財務省貿易統計)。
冒頭の数字は両分類を合わせた「緑茶」全体のものだ。国・地域別の輸出先トップ5(シェア)は以下の通り。
【輸出数量】
(1)アメリカ 30.3%
(2)台湾 23.3%
(3)シンガポール 7.4%
(4)ドイツ 7.4%
(5)香港 4.4%
【輸出金額】
(1)アメリカ 41.1%
(2)台湾 9.5%
(3)ドイツ 9.3%
(4)香港 8.4%
(5)シンガポール 7.8%
年別の推移をみると、1999年以降ずっとアメリカが1位を維持している。昨年の輸出数量は1400トンで、台湾よりも300トン多い。
アメリカ向け輸出が好調な背景について、東京税関は「健康志向の高まりや日本食ブーム等の影響があるようだ」と分析している。
国・地域別の単価でみると、単価のトップは香港で1キロ当たり5881円。2位はアメリカで4193円。以下、ドイツ3913円、カナダ3704円、シンガポール3274円と続き、輸出数量・金額で2位の台湾は1266円と、かなり低くなっている。
これについて東京税関は、香港やアメリカは「緑茶のなかでも比較的高価な抹茶の人気があるから」とし、台湾については「飲食物等の原料としての輸出が多いから」と分析している。緑茶は、抹茶などを飲むだけでなく、抹茶ラテや抹茶アイスクリームなどの原料としての需要も増えている。