来年、創業50周年を迎える家具・インテリア販売の大塚家具。およそ3年前、創業者であり実父・大塚勝久氏と骨肉の争いを繰り広げた末、経営権を奪取した大塚久美子社長だが、ここまで大塚社長の舵取りは裏目に出ていることばかりなのだ。
父・勝久氏の時代は、顧客一人ひとりに丁寧な接客を行うため会員制を取り入れており、それが大塚家具のストロングポイントとなって高客単価・高収益を上げていた。だが、そのビジネスモデルが時代遅れとなりつつあり、低中価格帯のラインナップで人気を博しているニトリやIKEAといった競合企業に、後れを取っていたのは事実である。
経営権を奪取後、大塚社長はすぐに会員制を取りやめ、セールを打つなどして一時期業績を回復させたが、それも長くは続かなかった。会員制を撤廃したことで店舗への入りやすさは格段に増したが、半面、それまでメインターゲットとしていた富裕層の顧客が徐々に離れていってしまったと指摘されている。
それは数字に如実に表れている。現在、12カ月連続で月次売上高の前年割れが続き、2018年に入ってからは、1月は前年同月比83.1%、2月は92.3%、3月は83.7%、4月は87.4%、5月は90.0%、6月は82.6%、7月は73.4%という憂き目に。
2017年12月期決算が72億5900万円もの過去最高の大赤字となったことが発表されただけでなく、18年度第1四半期(1~3月)は14億円の営業赤字となっているのだ。現在もなんとか無借金経営を貫いているのは立派だが、以前は100億円以上あった現預金が今年3月末時点で約10億円まで減ってしまっているのである。
これらの不振は株価にも表れており、2015年3月には2488円を記録していたものの、年々下がり続け、なんと今年6月下旬に創業以来初の400円割れを記録してしまっている。
もちろん大塚社長もただ指をくわえて見ているだけではない。
5月27日に創業地であった春日部ショールームを閉店しつつ、6月16日には有明本社ショールームをリニューアルオープンさせた。多数の小型専門店が集まる旗艦店と位置づけたこの有明本社ショールームは、売り場面積を2万187平方メートルから1万6513平方メートルに縮小させ、商品点数も絞ることで、顧客からの相談に丁寧に対応でき、提案できる体制を整えているとのこと。
果たして大塚社長による施策は起死回生の一手となるのか? それとも焼け石に水となってしまうのか?