鳥貴族の2018年7月期の決算は、大変厳しいものとなった。売上高は前年比15.8%増の339億円、最終的な儲けを示す純利益は同31.6%減の6億円だった。二桁の増収のため好調のようにも見えるが、増収率は以前と比べて低下し、純利益は30%を超える大幅な減益率となっており、好調どころか経営に黄色信号が灯ったといえるだろう。値上げによる客離れの影響が想像以上に大きく、何らかの対策を喫緊に講じなければ、経営危機に陥る危険性さえある。
純利益が大幅に減ったのは、店舗設備など固定資産の減損損失として5億円の特別損失を計上したことが大きい。一部の店舗の収益性が低下し、当初見込んだほどの利益を生まなくなったと判断、店舗設備など固定資産の帳簿上の価格を引き下げることとなった。その結果生じる損失は業績などに反映させなければならず、鳥貴族は今回、特別損失として計上した。
既存店は苦戦が続いている。昨年10月に商品を一律280円から298円に値上げしたことが影響し、客単価は値上げした月から今年8月まで11カ月連続で前年同月を上回ったものの、客数が8月まで9カ月連続で前年割れとなり、客数減少効果が客単価上昇効果を上回ることで売上高がマイナスとなる月が続出した。売上高は8月まで8カ月連続で前年割れとなっている。
客離れを受けてか、同社は客数の属性・年齢別の増減動向を公表している。それによると、上期(17年8月〜18年1月)は家族客や学生、40代、50代、60代以上などが前年同月から大きく減った。一方、主要顧客である会社員や30代はそれぞれ増加し、同じく主要の20代は微減にとどまった。非主要顧客層で大きな客離れが起きてしまったが、主要顧客層の客離れが限定的だったのは不幸中の幸いといえた。
しかし下期(18年2〜7月)は、その主要顧客である会社員や20代、30代も大きく減ってしまった。結果として通期の客数の増減率は、会社員が4.6%減、20代が5.2%減、30代が3.7%減となった。会社員に次ぐ主要顧客の学生は9.9%減と大きく減った。鳥貴族を支えるこれらの主要顧客層が大きく減ったというのは、致命的といえるだろう。なお、非主要顧客ではあるが、家族客や40代、50代、60代以上は、それぞれ二桁の大幅なマイナスとなっている。