「子会社取締役」と「ただのオジさん」の分かれ目とは?
元外資系部長、ユニクロ元マネージャーであり、現在『とくダネ!』(フジテレビ系)コメンテーターとしてもお馴染みの田中雅子氏。長年現場のマネジメントにたずさわり、数々の全社プロジェクトを成功させ、企業成長を支えてきた田中氏が、ビジネスパーソンが自らをリーダーに成長するためにやるべきことを指南する。
この連載では、日系企業や外資系企業でのマネージャー経験、経営の経験、そして現在代表を務める田中総研でのコンサルティング業務などを通じて体得したことを、主にポストマネジメント世代の読者の皆様にお伝えさせていただきます。
「ゼロからのリーダー学」という連載タイトルにもあります通り、企業在籍時代、
「使える予算がない」
「担当者が割り振られていない」
「みんな日常業務で忙しく、新しいことに取り組む時間がない」
というゼロの状態で、また、マネージャーとして何度も失敗をする中で「リーダー失格です」と社長より叱咤激励されながら、私自身が学んだことを中心にお話ししたいと考えています。
第1回目は、これからの連載の前提となるお話をします。それは、「会社が自分たちの生活を守ってくれるわけではない」ということです。
今はもはや、どの業界も高度安定成長が望める環境ではありません。例えば、日本のお家芸と呼ばれた家電製品、液晶薄型テレビや携帯電話は、いつの間にか世界トップの座を韓国勢に奪われてしまいました。このほかの業界でも、
「大企業が業績不振でリストラ」
「不採算部門を外資に売却」
などというニュースが、当たり前のように日々報道されています。
でも一方で、このような時代でも、成長を続ける企業もあります。この違いはどこにあるのでしょうか? 手前みそになってしまうかもしれませんが、今成長している企業の経営者というのは、時代の変化、マーケットの変化、環境の変化を恐れていません。むしろそのような変化はチャンスであり、それに対応できなかったら、企業は存続できないと考えています。変化に対応するということは、経営者ひとりがやることではなくて、社員全員が変化に対応するということです。それができなければ、企業も組織も、ごっそりなくなってしまうかもしれない、という危機感を常に持っています。「高度安定成長期とは全然違うぞ」という認識にギアチェンジできる人しか、このような成長企業にはいられないのです。