「子会社取締役」と「ただのオジさん」の分かれ目とは?
さらば「WINDOWS 2000」
一定年齢を過ぎると”役職定年”といって、その人の能力に関係なく、例えば今まで部長だった人が、部長ではなくなるという人事制度があります。役職定年になると、部長だった人が今日から単なる「オジさん」になってしまうのです。もちろん雇用は守られますが、部長として退職まで収入が保証されているということはありません。このようなことが一部上場企業でも行われているのです。
単なる「オジサン」になってしまった人は、今まで言うことを聞いていた部下たちからも、そっぽを向かれてしまうらしいですね。元部下たちにとっては、役職があるから従っていただけで、役職がなくなってしまえば、急に使いにくい「やっかいなオジサン」になってしまうからでしょう。これではサラリーマン人生の締めくくりとして悲しいですよね。ある会社では、このようなオジサンたちは、「窓際族になり、あとは退職金2000万円を楽しみに勤めるだけの人たち」=「WINDOWS 2000」と陰で呼ばれているそうです。
その一方、役職定年になったとしても、それまでに会社に対して素晴らしい貢献をして、社内外でさまざまな変化を起こしていた人は、役職定年後も「オジさん」ではなく、子会社や他社から「取締役に就任して経営に参画してくれないか?」など、次のポジション・オファーが来るようです。
だから、どんな一流の大会社にいる人でも、自分は大丈夫だろうという意識は持たないほうがいいと思います。「不景気だから、危ないから今の会社にしがみつこう」とするのが普通の行動だと思います。
でも本当は、危ないからこそチャレンジしなくてはいけない。そして危ないからこそ、いろんなチャンスが生まれているのです。高度成長期であれば、何もしなくても売上や利益、給料も増えていくからよかった。でも、危機の時というのは、実はすごいチャンスが転がっているのも事実です。それをうまくゲットし、プラス思考でチャレンジしていける人こそが「ゼロからのリーダー」になれる人なのです。
では次回から、今までの私の経験なども交えながら、「ゼロからのリーダー」になるための具体的な行動について、お話をしていきましょう。
(文=田中雅子/田中総研代表)