かなと思っている人に、一人でも
食べていける知識をシェアしよう
じゃないか』
著:山口揚平
アスキー・メディアワークス
今、注目を集めているノマドという働き方は、オフィスを持たず、自由に仕事をするという姿を“遊牧民”に例えたものだが、それとセットで語られることが多いのが“フリーランス”である。会社という自分を縛りつける組織から独立し、フリーとなって自分のやりたい仕事をするというものだ。
しかし、フリーになって自分のやりたい仕事だけをするなんて、実際のところは夢物語だろう。支援してくれるパトロンがいるか、飛びぬけて優秀な人間でないと、食べていくことは難しい。
じゃあ、どうすればいいのか。『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(アスキー・メディアワークス/刊)の著者である山口揚平さんは、好きなことだけで食べていくことはできるが、やりかたが大切だと述べている。
フリーランスになったとき、多くの人は「何をやるか」ということにフォーカスしてしまう。例えば、フリーカメラマンとして独立したとき、流行っているソーシャルメディアなどを利用して「何でも撮影します!」と呼びかける。
しかし、これだけでは食べていくことはできない。第一ライバルが多すぎるし、とんでもないテクニックがなければ、客を得ることはできないだろう。
ここで重要なのが、「どうやって写真を撮って、それでお金を手に入れるか」を考えることだ。観光地で写真を撮っているカメラマンであれば、どうやってその写真をお客に提供するかというところにチャンスがある。例えば、インターネット上にアップし、携帯やパソコンから欲しい写真をダウンロードしてもらい、ダウンロードする際にクレジットカードの決済を行うというのも一つのモデルだ。
私たちは価値を提供すれば相応のお金が入ってくると思いがちだが、実はそうではない。お金が入ってくるためのシステムという土台が重要なのだ。土台がうまく機能すれば、本当にやりたいことに手を出して失敗しても、それほどダメージは受けない。
そして、土台は必ずしも本業でなくていいという。
例えば、ハーバード大学やスタンフォード大学といった著名な大学の収益の柱は教育事業ではない。寄付金や投資、不動産事業などが利益を生み出しているのだ。
山口さんはまず、そうした「プロフィットモデル」を見つけて、そこに自分のしたいことや好きなことを当てはめていく方法を取るべきだという。
本書には、10のプロフィットモデルや、起業の方法など、極めて実践的な内容が書かれている。
フリーランスになったときに求められるのは、“経営センス”だ。成果物のレベルの高さや熱意も確かに大事なのだが、それら以上に自らを経営するという意識を持たなければいけないだろう。そうした視点からも、サラリーマン時代とは全く違う世界に飛び込むことになるということが分かるはずだ。
「好き」で食べていくのは想像以上に大変なこと。それでも、フリーになり、やりたいことをしたいのであれば、本書を一読しておくべきだろう。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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