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テレビCM、録画&スキップで効果低下は嘘だった?ケータイの大量CMは効果絶大?

文=沼田利明/マーケティングコンサルタント
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 CMに関する各種調査を行うCM総合研究所が発表した、1月度のCM好感度ランキングは、KDDI(au)がダントツだった。昨年12月に発表された年間ランキングでは、ソフトバンクモバイルが8年連続1位だったことから、今後同社が巻き返すべくCM制作に力を入れると予想される。

 auは、俳優の松田翔太演じる「桃太郎」、桐谷健太演じる「浦島太郎」、濱田岳演じる「金太郎」の3人が、軽妙なトークを展開しながら、自由で新しい「英雄像」(=au像)を模索するという新シリーズCMを展開している。1月初頭から複数パターンを大量に流し、視聴者の脳裏に刷り込んでいる。ともすれば、大量にCMを流すと視聴者の拒否反応を引き起こすこともあるのだが、斬新な設定と3人の俳優の会話の面白さから、さらなるCMを求める声が上がっているほどだ。

 今回のヒットを受けて、おそらくauは今後もこのシリーズのCMをしばらく制作し続けていくだろう。

 2位には、ダイハツの軽自動車、ウェイクのCMがランクインした。ダイハツは、ムーヴ、タントのCMも人気を博しており、新たな人気シリーズとなるだろう。特に俳優の玉山鉄二と中島広稀が珍妙なやり取りを交わす「ウェイク兄弟」シリーズは、放送されるやインターネット上で「面白い」と絶賛する声が相次いでおり、動画再生回数もうなぎ上りの状況だ。

面白いCMは訴求効果が上がっている?

 3位には、ソフトバンクモバイルが入った。同社は昨年、定番となった「白戸家」シリーズを中心に88作品を展開し、CM好感度年間1位を獲得している。白戸家シリーズを展開して以来、同社の企業イメージは常に上位に位置している。CMが同社の好業績に大きな要因となっていることは間違いないだろう。ちなみに白戸家のシリーズでは、俳優の堺雅人、犬のお父さん、女優の上戸彩や樋口可南子などのレギュラー陣に加え、人気アイドルの橋本環奈、女優の吉永小百合、ふなっしー、サッカー選手の香川真司など、その時々において話題のキャストを次々に起用して人気を集めている。

 1月度では3位に甘んじているものの、年間ランキング1位の最右翼であることは疑いない。2月以降の新作にも注目したい。

ソフトバンクのCM一覧 http://www.softbank.jp/mobile/tvcm_media/cm/

 今回紹介した3社のCMは、いずれもドラマ仕立てで斬新な設定をしている点が共通している。auは日本の代表的な昔話の桃太郎、浦島太郎、金太郎の3人が軽妙なトークを繰り広げ、ダイハツは型破りな発想の持ち主が自動車に奇抜な改造を加え、ソフトバンクは家族の父親が犬になるなど、視聴者が一瞬で引き込まれる面白さがある。

 若者のテレビ離れが進んでいるといわれ、ドラマなどを見ている視聴者でも録画してから見る人が増え、録画再生する際にはCMは飛ばされることが多いだろう。しかし、面白いCMはすぐにネットで話題となり、動画で再生される時代になった。

 すなわち、優れたCMは進んで視聴されるようになっているため、むしろ以前よりもCMの持つ訴求効果は上がっているのかもしれない。もちろん、単なる商品紹介ではなく、ストーリー性も含めてつくり込んだCMでなければならないため、制作者は相応の注力が必要となる。一消費者としては、番組を中断されるCMは少ないほうがいいが、CM自体が面白くならざるを得ない傾向は歓迎したい。
(文=沼田利明/マーケティングコンサルタント)

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