リクルートホールディングスが全社員を対象に、上限日数のない在宅勤務を認めるという。成果のみによる評価の原則に労使双方が納得する同社の仕組みと企業文化があって、はじめて可能な制度だといえそうだが、なかなか思い切った試みだ。
動画によるテレビ会議が手軽に可能な昨今の技術を考えると、仕事にもよるが、もはや出社は必ずしも必要ではない。時間を有効利用する観点からも、在宅勤務を広く取り入れることは業務能率の向上に有効だろう。また、社員の側でも、育児や介護などの家庭の事情と仕事の両立を図る上で好都合だろうし、勉強・趣味・ボランティア活動などの余地も広がる。
また、衣料品のユニクロを展開するファーストリテイリングは、地域限定正社員を対象に希望者に対して週休3日を可能とする制度を適用する方針を発表した。こちらは、通常一日8時間労働時間を10時間に延長して週4日勤務で同じ時間働くことで、週40時間の労働時間を確保する。仕事にもよるが、いったん仕事を始めたら一日に10時間くらい働くビジネスパーソンは少なくないだろう。
朝9時に出社して、昼休み1時間を挟んで夜8時まで働くと、10時間になる。締切までに成果を得ることができればそれでいい仕事の場合、大いに適用可能だと思われる。会社はおそらく残業代が節約できるし、社員の側では週に1日休日が増えるのだから、双方にとって概ねいい話だろう。週に3日丸々休めるのであれば、そのうちの2日程度を勉強やボランティア活動に充てることもできようし、もちろん育児や介護などの家族の用事にもより柔軟に対応できそうだ。
在宅勤務にあっても、週休3日にあっても、通勤時間の無駄と苦痛を減じることができるのは共に確実なプラス効果だ。ビジネスパーソンとしての生活習慣が十分に確立されていない若手社員には不向きかもしれないが、前記2社以外の会社でも、取り入れることができそうだ。
これまで、日本の会社では、決まった時間に同じ場所に集まることに力を入れすぎていたように思える。通勤ラッシュなどに耐えて、不自由を我慢することを社員が競い合うような不毛な組織文化を持つ会社もあったように思う。
勤務スタイルの自由化・多様化は、大いに結構なことだ。女性をはじめとして「在宅勤務が可能なら働ける」という方も多いことだろうし、休日が増えることで、生活にはさまざまな自由度が生まれる。
「副業」「複業」の自由化
勤務形態の自由化で次に望みたいのは、「副業」ないし「複業」の広範な自由化だ。