例えば、週3日の休日のうち1日を完全休養日に充てるなら、週に2日副業に使える。かなり本格的なビジネスに取り組むことができるのではないだろうか。
また、サイドビジネス的な副業だけでなく、2社に勤める「複業」勤務もあっていいのではないだろうか。複数の仕事と収入源を持つことは、もちろん収入の増加につながり得るし、生活のセキュリティにとっても好ましいことだ。公的年金が頼りなくなる今後の社会にあって、各自が老後の生活や、さまざまな経済的なリスクに備える上で、単に貯蓄や投資に頼るだけでなく、会社以外の場所で働くことができる可能性を拡大することは、極めて有効だ。
個人的に、筆者は約15年前から会社と交渉して「複業」が可能な勤務スタイルで働いてきた。これが、経済的に得だったかどうかは判断の難しいところだが、仕事と生活に大きな自由度を持てたし、まだ道半ばであるが、将来的に自分のペースで働く道筋をつくることができた点で有意義だったと思っている。
問題は、まだ多くの会社は社員の生活を独占したがる傾向が強く、社員に対して副業の禁止ないしは、厳密な許可制を適用しようとすることだ。会社と争った場合に判例的には副業が認められる公算が大きいとしても、会社自体が原則自由の方針をはっきりさせてくれるのでなければ、副業に取り組みにくいと考える社員が多いだろう。
会社の仕事と副業との間で利益相反が生じるような場合、その問題を解決する必要はあるが、リクルートのように「成果で評価する」ことが徹底していれば、副業の自由を認めることができる会社は少なくないはずだ。
今後の勤務スタイルの自由化拡大の方向として、「副業の自由」の明るい適用拡大を提案したい。
(文=山崎元/楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表)