これまで快進撃を続けてきたしまむらの業績に急ブレーキがかかった。
しまむらが2017年12月25日に発表した17年3〜11月期の連結決算は、売上高が前年同期比0.4%減の4269億円、本業の儲けを示す営業利益は11.3%減の350億円だった。
しまむらの不調に対し、株価も反応した。決算発表の翌26日の終値は前日比660円(5%)安の1万2420円まで下げた。成長の鈍化を嫌気した売りが優勢になり、それまで4日続落した。
アマゾンなどインターネット通信販売事業者の台頭で、実店舗を軸に衣料品を販売する企業の苦戦が近年伝えられているが、しまむらはそうしたなかでも順調に業績を伸ばしてきた。09年2月期はリーマンショックなどの影響でわずかに減収となったものの、その後は売上高が伸長し、17年2月期まで8期連続で増収を達成した。営業利益は4期ぶりに最高益を更新している。
しまむらは主力の「ファッションセンターしまむら」を全国に1387店を展開するほか、若者向けの「アベイル」305店、ベビー・子供用品の「バースデイ」252店、生活雑貨中心の「シャンブル」98店、婦人靴の「ディバロ」12店などを展開し、グループで2000店を超える(店舗数は17年11月時点)。これだけの店舗数を国内で展開する企業はなかなかない。ユニクロですら国内では830店程度だ。
明らかに「勝ち組」といえるしまむらが、ここにきて失速したのはなぜか。しまむらは、その理由を「11月中旬から全国的に気温が低下したものの、9~10月にかけて気温が高く推移したことや、10月下旬に2週連続で週末に襲来した台風が影響したため」としている。
確かに、天候はカジュアル衣料の販売に大きな影響を与える。秋冬物が本来よく動く9〜10月に気温が高ければ、売れ行きは当然鈍る。また、台風が襲来すれば客足が遠のくのは間違いない。ただ、望まない天候が続いたというのは、何も今年だけの話ではない。16年は8〜9月に台風が相次いで襲来し、9〜10月は厳しい残暑など異常気象が続いたことで気温が高かった。天候面では16年も17年もそれほど大差はないだろう。
しまむらの不調は、天候だけが理由ではないと考えられる。既存店売上高の動向がそれを示している。しまむらの17年3〜11月期の既存店売上高は、7つの月度で前年同月度を下回った。上回ったのはわずか2つの月度しかない。その原因をすべて天候のせいにするのは無理がある。
しまむらの不調は、既存店売上高の状況を経年で比較するとより鮮明にわかる。前述したとおり17年3〜11月期は2つの月度だけが上回ったが、16年同期では過半の5つの月度で前年を上回っていた。15年同期に至っては7つの月度で上回っていたのだ。こうしてみると、しまむらの“稼ぐ力”が衰えていることがわかる。