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稼ぐ力が衰えているもうひとつの理由は、「ネット通販戦略の失敗」だ。しまむらはこれまで、実店舗での販売にこだわってきた。しまむらの店舗に定期的に通い、掘り出し物を探す「しまパト」(「しまむらパトロール」の略)という言葉があるほど、根強い常連客がいる。これはネット通販ではできないことであり、しまむらの独自の強みといえる。しまむらがネット通販を行ってしまうと、「しまパト」という楽しみを客から奪ってしまうことにもなりかねない。そのため、あえてネット通販に参入してこなかった側面もあるのだろう。
しかし、そういったことにこだわってはいられない現状もある。ゾゾタウンやアマゾンといったネット通販勢が市場を席巻し、衣料品を販売する店舗から客を奪っているからだ。これまで実店舗にこだわりを見せてきたユニクロも近年はネット通販に力を入れており、ネット通販の売り上げ構成比を中期的に30%にまで引き上げる計画を示しているほどだ。こうした動きはしまむらも無視できないだろう。
そうしたなか、一部の報道によると、しまむらが「EC(電子商取引)研究プロジェクト」を立ち上げ、ネット通販の参入を検討しているという。まずは、客がネットで注文した商品を店舗で受け取る仕組みから始めるようだ。ただ、遅きに失した感が否めない。
しまむらは「ヒット商品の不在」「ネット通販戦略の失敗」という2つの問題を抱えている。この2つの問題をどう解決していくのか。中長期的な戦略が求められる。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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