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しまむら、突然に深刻な売上減突入…「しまむららしさ」消失、しまパトの楽しみ奪う

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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しまむら失速のワケ

 しまむらの稼ぐ力が衰えている理由は、大きく2つあると考えられる。

 ひとつは「ヒット商品の不在」だ。15年は裏地に起毛素材を用い、暖かさを売りにした「裏地あったかパンツ」が110万本以上売れる大ヒット商品となった。16年は接触冷感の「素肌涼やかデニム&パンツ」が大ヒットした。しかし、17年はそういった大ヒット商品が見当たらない。「裏地あったかパンツ」と「素肌涼やかデニム&パンツ」が引き続き売れてはいるが、15年や16年のような勢いは見られない状況だ。

 値下げを抑えて販売することができるヒット商品がなかったことは、客単価に大きく影響を及ぼした。17年3〜11月期における客単価は、9つの月度すべてで前年を下回ってしまった。16年同期ではひとつの月度だけだったことに鑑みると、その深刻さがわかるだろう。17年同期は多くの商品において、想定よりも売れず在庫が膨れ上がってしまったため、値下げを余儀なくされたことが影響したと考えられる。

 しまむらは販売戦略を大きく変えようとしている。しまむらはこれまで多品種少量生産による「売り切り御免」型で商品を販売してきたが、近年は取り扱う品種を減らし、売れ筋商品の在庫を多く抱えて販売するビジネスモデルに転換しつつある。これで成功したのが「裏地あったかパンツ」と「素肌涼やかデニム&パンツ」というわけだ。

 このビジネスモデルを成功させるために、売り場を大きく変えてきている。レイアウトや什器、店内販促物を大幅に変更する「2016年型新レイアウト」を16年から推し進めてきた。これにより通路幅を広くし、ハンガー陳列を増やしている。こうすることで買いやすい売り場になるとともに、少ない品種でも効率よく運営できるようになるのだ。

 このように、しまむらは新たなビジネスモデルを構築している。ただ、これは諸刃の剣ともいえる。ヒット商品が生まれなければ、「客の選択肢が減っただけ」ということになりかねないからだ。また、しまむらの「売り切り御免」型は大量生産型のユニクロに対する差別化要因となっていたが、新しいビジネスモデルはその差別化要因を消してしまうというリスクをはらんでいる。しまむらの“らしさ”が失われてしまいかねない。

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