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ロプロ(旧日栄)に吸収された旧武富士。
(「ウィキペディア」より)
そのロプロと、組織的な盗聴を繰り返してきたとして、当時の武井保雄会長逮捕にまで発展した武富士が合体するとは、目まいがしそうな話だが、実はロプロは09年、武富士より先に経営破綻していた。その会社更生プロセスには、創業家だけが大儲けしていたという、知られざる「計画倒産」疑惑が囁かれている。
昨年12月8日、京都地裁の法廷では、東京地裁から出張した裁判官と書記官、弁護士が、一人の男を待っていた。その男の名は松田一男。言わずと知れたロプロ(旧日栄)創業者である。一男氏は、彼から00年に同社社長を継いだ息子の龍一氏とともに、過払い債権者から訴えられていた。「顧客を手形の罠にはめ、違法金利を強制的に巻き上げる経営が生んだ損害を償え」というのが原告の主張である。
出廷時間を過ぎても一男氏が姿を現さないので、やむなく「不出頭」という扱いになった。「松田氏の弁護士は、『体調が悪いから尋問に耐えられない』と主張しました。しかし、カラオケに通っていることがわかり、『それなら話を聞こう』となり、今回松田氏が出廷する予定になっていたのです」(原告代理人の茆原洋子弁護士)。一男氏はカラオケだけでなく、代表取締役を務める松田観光(京都市)という不動産管理会社にも出勤している。ちなみに彼も同社も、ロプロ破綻まで同社の大株主だった。
2963万円もの過払金のほとんどを会社更生で踏み倒された原告は、こう訴える。
「違法な金利を取ったままにして、『会社から過払金は返さない』『松田親子も個人も責任を取らない』のでは、どうしても納得がいきません」
言われるがままに「借金」を返してきたら、実は過払いになっていたことがわかった。そこで過払金を返してもらおうとしたら、貸金業者が経営破綻し、雀の涙の配当金だけ。そんな目に遭った過払い債権者が怒るのも無理はない。
本来なら、会社更生の際には会社から独立した管財人がついて、旧経営陣の責任を追及する。ところがロプロや武富士の破綻については、法曹界から次のような疑念の声が上がっている。
「ロプロから独立して同社経営陣の責任を追及すべき管財人に、なんと同社から多額の報酬を得て、同社の会社更生(=破綻)申立代理を委任されていた弁護士がついたのです。管財人は裁判所によって選任されたのですが、これで旧経営陣の責任が十分追及することが果たしてできたのか?」(法曹関係者)
関東弁護士連合会は、1月19日に発表した意見書の中で、大手貸金業者の会社更生について、
「このとき、更生会社経営陣や大株主と密接な関係にあった更生会社の申立代理人が管財人の立場から公正かつ厳格にその責任を追及できるのか、過払金返還請求権を有する債権者が疑念を持つことにもなろう」との見解を示している。