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任天堂、苦境を招いた複雑な社内事情 岩田社長、抜本対策を示せず“動じない”理由

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 だが、今後も営業赤字が続けば、株主から引責辞任圧力が強まってくる。昨年の株主総会でも岩田氏への信任率が77%まで低下するなど、その兆候も出ている。業界関係者は「それに岩田氏がいつまで耐えられるかが問題」という。

●「スマホ対応しない」宣言を生んだ双頭体制

 後説は岩田氏と宮本茂専務の関係が根拠。業界関係者は「ゲーム機のハードウェアは岩田社長が担当、ソフトウェアは宮本専務が担当というのが同社内部の不文律」といい、次のように説明する。

 宮本氏は金沢美術工芸大学を卒業して同社に入社、頭角を現した生え抜きのゲームクリエーター。『スーパーマリオブラザーズ』『ゼルダの伝説』など数々のヒットゲームを生み出したゲームソフトのヒットメーカー。社内では「任天堂ソフト開発の総帥」といわれている。

 一方の岩田氏は、創業家2代目の山内溥相談役(故人)が自らヘッドハンティングした外部登用社長であり、02年の社長就任以降、WiiやニンテンドーDS開発の指揮をとったハードウェアのヒットメーカー。経営者としても同社の業績を飛躍的に向上させた実力者だ。

 そんな経緯から「同社の実質的トップは生え抜きカリスマ専務と外様社長の双頭体制であり、両者は相互不可侵の関係」(前出・業界関係者)という。根っからのゲームクリエーターである宮本氏は経営方針に口を挟まない代わりに、岩田氏も宮本専務に遠慮してソフト開発には口出しをしないのが鉄則。「だから、スマホやクラウドに興味のない宮本氏に、岩田社長はスマホ対応のソフト開発を指示できない。この微妙な社内力学関係が経営方針説明会で岩田社長に『スマホ対応をしない』と断言させた背景」と別の業界関係者は指摘する。

 同社の業績不振は、外部からは窺い知れない複雑な内部要因に根差しているようだ。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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