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永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」

商品が売れない原因はこれ!他社を圧倒する差別化、放っておいても売れる商品とは

文=永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表
商品が売れない原因はこれ!他社を圧倒する差別化、放っておいても売れる商品とはの画像1「Thinkstock」より

 筆者は企業のお客様からさまざまな相談を受けることが多い。あるケースでは、新製品担当者から、「なかなか営業部門が思ったように動いてくれない。営業にはターゲットの顧客を絞るべきだと言っているが、聞こうとしない。どうすれば売れるのか?」という相談を受けた。

 そこでどのように絞り込むべきかを聞いたところ、「地域や、チャネルで絞り込むべきだ」との答え。理由を聞いたところ、「特に理由はない。とにかく、絞り込むべきだ」と言う。

 質問を変えて、その新商品が、自社のどのような強みを生かし、どのお客様を対象にして、どのような課題を、いかに解決しているかを尋ねてみた。すると「そういうことは考えていない。他社でも同じ商品は提供できる」との答えが返ってきた。

 ここまで話して、営業部門が動かない理由がわかった。「お客様が買う理由」が不明確なのだ。そこで「最初に『お客様が買う理由』を考えるべきではないでしょうか?」と答えたところ、残念そうにこう言った。「結局、『地道にやれ』ということか」。

 私はほかにも、お客様から色々なご相談を受けることが多い。

・「営業に行っても、お客様から言われるのは値引きばかり。どうすればいいのか?」
・「マーケティング部門で販促活動しているが、成果が上がらない。困っている」
・「チャネル戦略で販路拡大を図っていますが、売上が下降する一方だ」

 そこで先と同じように、「ターゲットのお客様が誰で、その人はどのような課題を持っていて、御社ならではのどのような強みを生かして、その課題を解決しているのですか?」と聞くと、9割以上の確率で異口同音に返ってくる答えは、「よく考えていないが、とにかく問題を解決したい」というものだ。今回、深掘りしてお話を伺ってわかったのも、まさに同じケースだった。

 ほとんどの場合、売れない理由はひとつだけだ。「お客様が買う理由」がないのだ。「商品を出してうまく販売すれば、売れる」と考えている。しかし現代では「お客様が買う理由」が不明確な商品を、販売力を頼って売るのは至難の業だ。だから売れないのだ。

 本連載で繰り返し述べているように、「お客様が買う理由」をつくり上げるには、

(1)「自社の強み」を見極め、
(2)「その強みを必要とするお客様」(ターゲット顧客)を決めて、
(3)「そのお客様が必要としていること」(顧客の課題)を徹底的に理解し、
(4)「自社ならではの強みを生かした課題の解決策」(商品やサービス)を提供することを考える

 このような手順が必要だ。

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

永井孝尚/ウォンツアンドバリュー株式会社代表

 マーケティング戦略アドバイザー。1984年に慶應義塾大学工学部を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立。マーケティング思考を日本に根付かせることを目的に、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えることをモットーとし、幅広い企業や団体へ年間数十件の講演やワークショップ研修を実施。さらに書籍・雑誌の執筆、メディア出演などで、より多くの人たちにマーケティングの面白さを伝え続けている。主な著書に、シリーズ累計60万部を突破した『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズ(全3巻、コミック版全3巻、図解版、文庫版)、『そうだ、星を売ろう』、『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ!』、『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』(以上KADOKAWA)、『「戦略力」が身につく方法』(PHPビジネス新書)がある。最新著は『これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング』(SB新書)

・問い合わせ先:永井孝尚オフィシャルサイト

Twitter:@takahisanagai

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