商品が売れない原因はこれ!他社を圧倒する差別化、放っておいても売れる商品とは
筆者は企業のお客様からさまざまな相談を受けることが多い。あるケースでは、新製品担当者から、「なかなか営業部門が思ったように動いてくれない。営業にはターゲットの顧客を絞るべきだと言っているが、聞こうとしない。どうすれば売れるのか?」という相談を受けた。
そこでどのように絞り込むべきかを聞いたところ、「地域や、チャネルで絞り込むべきだ」との答え。理由を聞いたところ、「特に理由はない。とにかく、絞り込むべきだ」と言う。
質問を変えて、その新商品が、自社のどのような強みを生かし、どのお客様を対象にして、どのような課題を、いかに解決しているかを尋ねてみた。すると「そういうことは考えていない。他社でも同じ商品は提供できる」との答えが返ってきた。
ここまで話して、営業部門が動かない理由がわかった。「お客様が買う理由」が不明確なのだ。そこで「最初に『お客様が買う理由』を考えるべきではないでしょうか?」と答えたところ、残念そうにこう言った。「結局、『地道にやれ』ということか」。
私はほかにも、お客様から色々なご相談を受けることが多い。
・「営業に行っても、お客様から言われるのは値引きばかり。どうすればいいのか?」
・「マーケティング部門で販促活動しているが、成果が上がらない。困っている」
・「チャネル戦略で販路拡大を図っていますが、売上が下降する一方だ」
そこで先と同じように、「ターゲットのお客様が誰で、その人はどのような課題を持っていて、御社ならではのどのような強みを生かして、その課題を解決しているのですか?」と聞くと、9割以上の確率で異口同音に返ってくる答えは、「よく考えていないが、とにかく問題を解決したい」というものだ。今回、深掘りしてお話を伺ってわかったのも、まさに同じケースだった。
ほとんどの場合、売れない理由はひとつだけだ。「お客様が買う理由」がないのだ。「商品を出してうまく販売すれば、売れる」と考えている。しかし現代では「お客様が買う理由」が不明確な商品を、販売力を頼って売るのは至難の業だ。だから売れないのだ。
本連載で繰り返し述べているように、「お客様が買う理由」をつくり上げるには、
(1)「自社の強み」を見極め、
(2)「その強みを必要とするお客様」(ターゲット顧客)を決めて、
(3)「そのお客様が必要としていること」(顧客の課題)を徹底的に理解し、
(4)「自社ならではの強みを生かした課題の解決策」(商品やサービス)を提供することを考える
このような手順が必要だ。