脱創業家を進める牧野フライス製作所

 牧野フライス製作所は取締役の井上真一氏が6月22日付で社長に昇格する。創業家で社長の牧野二郎氏は会長などの役職には就かず、退任する。31年間、カリスマとして同社を牽引してきた牧野氏から大幅に若返る。

 井上氏は92年、北海道大学大学院修了、牧野フライス製作所に入社。14年に取締役。航空機向けマシニングセンタ開発部隊のエースだ。「好奇心が強く、なんでも受け入れる。伸び代が大きい」と牧野氏は高く評価した。開発畑が長かった井上氏を昨年、営業本部長に据え、経営全般を見る目を養わせた。

 井上氏は現在49歳なので、10年後でも59歳だ。長期政権になる可能性が高い。中長期の視点でユーザーとの関係を強化する。

若返りにほど遠いNEC

 日本電気(NEC)は16年4月から始まる新中期経営計画を期にトップが交代する。4月1日付で副社長の新野隆氏が社長兼CEOに昇格する。社長の遠藤信博氏は代表権を持つ会長に就く。

 新野氏は77年京都大学工学部を卒業してNECに入社。大学時代は京大アメフト部の黄金期で、新野氏は守備の要だった。卒業後は、アメフトから離れたが、今でもアメフトの話になるとエンドレスになるといわれている。

 新野氏は入社以来、金融向けソリューション(システムの問題解決)に携った。工学部卒だが営業一筋。最高戦略責任者(CSO)として新中期経営計画を立案し、この中経を実行するために社長に昇格した。

 社長の遠藤とは1つ違いの同世代。若返りとはほど遠い。「電電ファミリー」の長兄と呼ばれたNECは、次兄の富士通に抜かれつつある。業績は悪く、NECの16年3月決算の4~12月期の営業利益は182億6500万円で前年同期比48.7%減、経常利益は152億円、58.1%減となった。最終利益は3億4200万円と同98.5%減。業績悪化から1月29日の株価は一時、303円(38円安)と14年5月27日以来の低い水準に崩落した。

 若返りが急務だったはずだが、遠藤氏が権力を維持するために、予定調和的な人事となった。

海外M&Aの失敗で会長が引責退任

 キリンホールディングス(HD)のトップの退任は、海外M&Aの失敗の責任を取ったものだ。

 会長の三宅占二氏が3月末で退任する。社外取締役を増員し、三宅氏が務めていた取締役会の議長職も社外取締役に委ねることで、外部の視点によるガバナンス体制を強化する。

 キリンHDは11年、ブラジル第2のビール会社、スキンカリオール(現ブラジルキリン)を3000億円で買収した。ブラジルのビール市場は世界首位のアンハイザー・ブッシュ・インべブ(ベルギー)の牙城で、価格競争に完敗した。

 キリンHDは15年12月期連結決算でスキンカリオールの取得によって生じたのれん代の減損など1140億円を特別損失として計上。最終損益は560億円の赤字となり、上場以来初の赤字に転落する見通しだ。

 スキンカリオールを買収した当時のキリンHDの社長が三宅氏だった。失敗に終わった海外M&Aの責任を取ってツメ腹を切らされた。
(文=編集部)

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